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   ハリウッドでの主演作ながら、コリン自身が一度も完成品を見たがらない恥ずかし〜い一作。

      コリンがどんなにこの仕事を嫌っていたかは、そのやる気のない演技からもアリアリで、

      敬虔なファンの間ではコリンへ敬意を表して(?)タブーとしているほど。確かにお粗末なプロット

      といい、出演者全員の的外れな演技といい、コリン出演作には大甘な私もさすがに救いがたさを感じて

      しまうのですが、見方を変えれば、よくもまあこんな映画をお金をかけて作れるもんだと、ハリウッド

      の懐の深さに感じ入ってしまう、そんな作品。トミー・ジャドやダーシーのイメージを崩されたくない

      人はくれぐれも見ないように。

      

      ではなぜそんな仕事にサインしたのか、とりあえずご本人のいいわけを聞いておきましょうか。

      「息子がちょうどその頃ロスにいてね。3週間で撮り終わるっていうし、それにギャラがすごく

      よかったんだ。女優になりたい女の子を心理的にいたぶる演技コーチの話なんだけど、くだらない

      作品だってことは最初から分かっていた。誰も見ないでほしいって心から思うよ」(The Sun '94年8月27日)



      「イギリスで6ヶ月も舞台をやった後で、息子に会いたくてしょうがなかったんだ。

      だから引き受けてしまった。でも、こんなひどい作品、跡形もなくこの世から消え去ってほしいと願うね」

      (The Weekly News '97年発行日不明)

  

      「家を買おうとしていたり、あるいは破産しそうなときに、くだらない仕事だけど

      高いギャラを払うと言われたら僕だって引き受けるさ。現にいくつかくずみたいな

      作品に出てきたよ。でも、仕事をするからには真剣だよ。低俗な作品に出演するの

      は愉快なことじゃないけど、自分に言い聞かせるんだ、これは価値のある仕事だってね。

      客観的に見ればそうじゃないことがはっきりしていてもね。僕は、子供のために稼がなきゃ

      ならないんだから」(Radio Times '97年2月号)

      

      忌むべき作品のくだらないストーリーについては敢えて書きますまい。でも、コリンが

      どんな役を演じたかだけはちょっとだけ紹介しておきましょう。

      

      コリン演じるロス・タルバートは:

        ・めがねをかけている(他の作品では滅多に見られません)

        ・イギリス人の演技コーチで、サディスティックなトレーニングをする

        ・シャワーを浴びるのがすき  

        ・やたら写真を撮りまくる  

        ・途中で死んだふりをするが、死に方がめちゃくちゃ下手  

        ・本当は、ある男に雇われた売れないアメリカ人俳優である

        ・でも、アメリカ英語の方が嘘っぽい

        ・女に誘われるとイヤといえない。それがピアノの上であっても

        ・女に命令されてもイヤといえない。それが冷たい岩の上であっても

        ・だまされた上に、本当に殺されてしまう

        ・主役のくせに、結構長い間死体のままほっとかれている

 
      子供のためとはいえ、こんな"complete rubbish"に主演してしまったのは、

      プライドの高いコリンにとってこの上ない屈辱だったことでしょう。

      この後ハリウッドに愛想を尽かし、母国イギリスで本格的に再出発をしたコリンですが、

      間を置かずして「高慢と偏見」で奇跡のようなカムバックを果たしたことはファンとしても

      本当にありがたいことです。「コリンのダーシー」誕生の仕掛け人となった

      Sue Birtwistleに感謝感謝!

      


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