見た目に反して気性は激しい。
静に属する物腰は、野生の猫のそれだ。
夜目はあまりきかないのか、月影に潜む気配に惹かれて何気なく振るった剣先が、腿の肉を裂いた。
若しかすると、視感が悪いのかもしれない。
どちらにしろ闇路を往く者には致命的だろう。
「・・・大した男だな。」
褒め言葉ではないことは分かる。
組み敷いた体を見下ろせば、その気性とは裏腹な静謐さで漆黒の瞳が見据えている。
「伝令を斬り付けた上に、嬲るか。」
「なら、もっとそれらしい気配で来い。」
殺気だったぞ、とめずらしく感情を含んだ言葉を唇にのせれば、漆黒が媚笑した。
「そういう嗜好だと思ったが。」
挑発するように、態とそう振舞っているのは判っている、が。
乾ききっていない傷口を掻く様に締め上げる。
「っ・・・」
引き攣れるように四肢が痙攣した。痛苦を逃すように、震える吐息が吐き出される。
その唇に手に移った朱を掻い付け、味わうように食んだ。
慣れた味が口蓋に広がる。
瞳を上げれば、詰る様な視線とぶつかった。
愉色を隠さず揶揄する。挑発したのはお前だぞ、と。
「こういう嗜好なのかと思ったが。」
そして抗う素振りをみせぬ漆黒をかき抱き、共に忘我の淵へと堕ちていった。


アトガキみたいなの。

周子さん18000HITのキリリク『SSでお頭。相手は誰でも。』
でしたので、こうなりました。さて誰でしょう?
小説のなり損ない(汗)みたいで申し訳ありません‥‥。
えーと‥‥しんせんぐみのひと、です。えらいひと。
夏の『阿修羅〜』が楽しみですねv


忘憂之物

2003.07.07

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