この訳文の利用から何らかの損害その他が生じても訳者は一切の責任を負いません。
第2条
財、製品、サービスの呼称、提供、展示、使用法、保証の範囲と条件の記述、および請求書・受取書では、フランス語を用いなくてはならない。
この規定は、書面、音声、映像であるにかかわらず、広告にも適用される。
本条の規定は、外国語の呼称の下に広く知られている特産品の名称には適用されない。
商標法は、商標とともに登録された記述等への本条の第1項および第3項の適用を妨げない。
第3条
公道、公共の場所、公共の乗り物において、公衆への情報提供のために行われる掲示や告知はフランス語で記されなければならない。
前項の規定に反した掲示が、公共の財産に利用者によって貼りだされた場合は、所有者の公法人は利用者に対し、確認された不正行為を利用者の負担により公法人の定める期限内に停止するよう勧告しなければならない。
勧告に効果がなかった場合、違反の重要性にかんがみて、規約や使用許可の内容にかかわらず、不正行為を行った利用者による公共財の利用を停止することができる。
第4条
前条に規定された掲示や告知で、公法人または公共サービスを委託された私法人によるものが翻訳される際は、少なくとも2ヵ国語に翻訳されなければならない。
本法第2条および第3条に規定された記述、告知、掲示が翻訳も含む場合は、フランス語の部分は外国語の部分と同じくらい読みやすく、聞きやすく、わかりやすくなければならない。
国際交通機関における本条の適用の例外の条件は、国務院令により定められる。
第5条
公法人または公共サービスを委託された私法人が締結する契約は、目的や形式を問わず、フランス語で書かれなければならない。外国語の言い回しや用語は、フランス語を豊かにすることに関する条例にしたがって認められた同じ意味のフランス語の言い回しや用語がある場合は用いてはならない。
事業を行う公法人、フランス銀行、預託・供託金庫が締結し、履行が国外のみで行われる契約には本規定は適用されない。本項の適用上、税法第131条の4の適用を受ける借入、金融事業の近代化に関する1996年7月2日付の法律第96-597号第4条の意味における投資サービスの提供で外国の法域で履行される契約は、フランス国外のみで履行されると見なされる。
本条で規定する契約で外国人を相手方とするものについては、フランス語版のほかに外国語版を作成することが、同等の効力を有するならば認められる。
第1項に反して締結された契約の当事者は、相手方の不利益となるような外国語の規定を援用することはできない。
第6条
フランス国籍を有する自然人または法人がフランスで主催する発表・討論・研究会議の参加者は、フランス語で陳述する権利をもつ。
議事紹介のために会議の事前または最中に配布される資料は、フランス語で書かれなければならないが、外国語の翻訳を作成してもよい。
発表・討論・研究会議において、参加者への事前資料や作業資料の配布、記録や議事録の公表がなされる場合、外国語による書面や発言については、少なくともフランス語による要約を伴わなければならない。
外国人のみにしか関わらない発表・討論・研究会議、フランスの貿易振興のための発表会議には本規定は適用されない。
公法人または公共サービスを委託された私法人が本条に規定された発表会議を主催する場合は、現場での翻訳体制を整えなければならない。
第7条
フランスにおける出版物、雑誌、放送で、公法人、公共サービスを委託された私法人、公的補助を受けた私法人によるものが外国語で行われる場合は、少なくともフランス語による要約を伴わなければならない。
第8条
労働法第L.121-1条の最後の3項を、次の4項に置き換える。「書面による労働契約はフランス語で書かれなければならない。
「契約の目的となる雇用関係に、フランス語に対応語のない外国語の呼称しかない場合は、外国語の用語についてのフランス語の説明が契約に含まれなくてはならない。
「外国人を被雇用者とした書面契約の場合は、請求があれば被雇用者の使用言語への契約の翻訳を行わなければならない。両国語版の効力は同一である。両国語版に齟齬のある場合、被雇用者に対してはその使用言語の版のものしか援用できない。
「本条に反して締結された労働契約の条文を、雇用主は被雇用者に対して援用することはできない。」
第9条
I.
労働法第L.122-35条に次の項を追加する。
「内規はフランス語で書かれる。外国語の翻訳を作成してもよい。」
II.
労働法第L.122-39条の後にL.122-39-1条として以下を追加する。
「第L.122-39-1条 被雇用者の義務や被雇用者が業務遂行の上で知っておく必要がある規定を記した書類は、フランス語で書かれなければならない。外国語の翻訳を作成してもよい。
「外国から受けとった書類や外国に宛てられた書類には本規定は適用されない。」
III.
労働法第L.122-37条第1項および第3項の「第L.122-34条および第L.122-35条」は「第L.122-34条、第L.122-35条および第L.122-39-1条」に置き換える。
IV.
労働法第L.132-2条の後に第L.132-2-1条として以下を追加する。
「第L.132-2-1条 団体協定や企業・事業所との協約はフランス語で書かれなければならない。外国語で書かれた規定は、被雇用者に対して援用することはできない。」
第10条
労働法第L.311-4条の3を以下に置き換える。
「3 フランス語で書かれた書面
「紹介される雇用または労働に、フランス語に対応語のない外国語の呼称しかない場合は、上記2の意味での誤解を引き起こさないように、フランス語による書面の中で充分な記述を行わなければならない。
「先の2項の規定が適用される役務は、紹介者または雇用者の国籍にかかわらずフランス国内で履行されるものと、履行がフランス国外で行われる場合は紹介者または雇用者がフランス国籍であるものであり、外国語の完璧な知識が雇用の条件であろうとも関わりない。但し、全部または一部が外国語で書かれた出版物の発行者は、その言語で書かれた紹介文を受けとってもよい。」
第11条
I.
公私の教育機関における授業、学科試験、資格試験、学位論文、研究論文では、地方または外国の言語や文化の教育上の必要性や、外国人の客員や招聘という正当な理由のある場合を除き、フランス語が用いられなくてはならない。
外国の学校、特に外国籍の生徒のために開設された学校、国際的な教育を行う機関は、上の義務を負わない。
II.
教育施策に関する1989年7月10日付の法律第89-486号第1条に第2項として以下を追加する。
「フランス語の習得と他の2つの言語の習得は、教育の基本目標の一部をなす。」
第12条
放送の自由に関する1986年9月30日付の法律第86-1067号第II部第1章に第20-1条として以下を追加する。
「第20-1条 ラジオ局またはテレビ局の番組と広告では、放送や配信の形式を問わず、映画・映像作品の原語放映を除き、フランス語を用いなければならない。
「本法第28条の2乙の規定を条件として、全部または一部の歌詞が外国語で書かれた音楽作品には前項は適用されない。
「全面的に外国語で放送される番組や語学学習を目的とする番組については番組の一部と挿入広告とを問わず、また、文化行事の中継については、第1項に規定された義務は適用されない。
「本条第1項に規定された番組や広告が外国語への翻訳を伴う場合は、フランス語の部分は外国語の部分と同じくらい読みやすく、聞きやすく、わかりやすくなければならない。」
第13条
前述の1986年9月30日付の法律第86-1067号を次のように改正する。
I.
第24条II第6項の後に次の項を追加する。
「フランス語の尊重とフランス語圏の発展」
II.
第28条4の後に4乙として以下を追加する。
「4乙 フランス語の尊重とフランス語圏の発展のための措置」
III.
第33条2の後に2乙として以下を追加する。
「2乙 フランス語の尊重とフランス語圏の発展のための措置」
第14条
I.
外国語の言い回しや用語からなる商標やサービスマークの公法人による使用は、フランス語を豊かにすることに関する条例にしたがって認められた同じ意味のフランス語の言い回しや用語がある場合は禁止される。
公共サービスを委託された私法人の委託業務の遂行の際も同様の禁令が適用される。
II.
本条の規定は、本法の施行前に使用が開始された商標には適用されない。
第15条
自治体や公共機関による補助金の付与は、受益者による本法の遵守を条件とする。
本法の遵守が行われなかった場合、当事者に意見表明の機会が与えられた後に、補助金の全部または一部の返還となることがあり得る。
第16条〜第19条
(刑法上の規定につき省略)
第20条
本法は強行法規である。
本法施行後に締結された契約は本法の適用を受ける。
第21条
本法の規定は、フランスの地方言語に関する法令をさまたげることなく適用され、地方言語の使用に反対するものではない。
第22条
政府は毎年9月15日までに議会に、本法および国際機関におけるフランス語の地位に関する国際条約の規定の適用に関する報告書を提出する。
第23条
第2条の規定は、同条の規定の罪罰を定めた国務院令の公布をもって、または遅くとも本法の官報による公布から12ヵ月後に発効する。
本法の第3条および第4条の規定は、第2条の発効から6ヵ月後に発効する。
第24条
フランス語の使用に関する1975年12月31日付の法律第75-1349号は廃止される。但し、第1条から第3条までは本法第2条の発効、同法第6条は本法第3条の発効の時点で廃止される。
本法は国家の法として施行される。
注:第23条に規定された行政院令は1995年3月5日に公布された。
(翻訳:斎藤かぐみ、1997年10月29日、修正:2017年8月26日)
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