フランス環境憲章案、第5条の条文案の変遷

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2003年6月27日に下院に提出された法案(原文)、立法理由説明

第5条は、環境に関連した慎重原則[予防原則]に言及、定義し、その実施要件を明確にするものである。この原則は、そのときの科学知識のもとで現実化するかどうかが不確実であるような被害のみに適用されるものであって、確実な被害リスクへの対処を目的とする予防行動とは区別されなければならない。もうひとつ必要な条件がある。起こり得る被害は重大かつ取り返しのつかないものでならなければならない。以上の条件が満たされた場合、公的機関は被害の現実化を回避することを目的として、そうした機関自身により、あるいは他のアクターにより、暫定的かつ応分の対策がとられるよう配慮することになる。公的機関はそれとともに、冒されることになるリスクの評価手続きが実施されるよう配慮しなければならない。ここでもやはり、官と民、自然人と法人とを問わず、あらゆる関係者が手続きに寄与することができる。この分野における過去の経験にかんがみ、慎重原則[予防原則]の濫用が何らかのイニシアティブ、ことに経済活動や科学研究を麻痺させることを回避すべく、このような言い回しがなされることになった。また、不確実性を取り除くための研究作業は、無為に引き延ばされることのないよう、透明に行われることが適切である。

同、条文

そのときの科学知識のもとは不確実であっても、被害が現実となれば環境に重大かつ取り返しのつかない悪影響が及ぼされる可能性のある場合、公的機関は慎重原則[予防原則]の適用により、被害の現実化を回避すべく暫定的かつ応分の対策がとられるよう、また冒されることになるリスクの評価手続きが実施されるよう配慮する。

2004年6月1日に下院で可決された法案(原文)=2004年6月24日に上院で可決された法案(原文)、条文

そのときの科学知識のもとは不確実であっても、被害が現実となれば環境に重大かつ取り返しのつかない悪影響が及ぼされる可能性のある場合、公的機関は慎重原則[予防原則]の適用により、かつ自らの権限の領域において、リスク評価手続きが実施されるよう、また被害の現実化に対して善処すべく暫定的かつ応分の対策がとられるよう配慮する。

(翻訳:斎藤かぐみ、2004年6月28日)


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