2001年 7月 1日
加筆 2003年10月 5日
HARIの妄想設定

何処よりも早い、ニコンF6レポート



 
 本コンテンツは、ニコンF6がまだ姿も形も無い(と思われる)2001年 7月 1日に、「F6の発表会があった」事を妄想して書かれたものです。
 従いまして、2004年9月16日に発表されましたF6とは全く関係がございません。
 本コンテンツをお読みになる方は、この点をご注意ください。
 2004年9月19日 HARI

 
 
 ついに発表となったF6について報告しよう。
 とはいえ、AFの合致性能やらモータードライブの巻き上げ速度対決などは一般カメラ雑誌がこぞって取り上げる事だろうから、ここでは筆者の感じた部分をメインに取り上げよう。

・F5?、いいえF6です。
 
 ニコンからついに発表されたNikonF6。
 しかし、その外見はF5と非常に似ている。
 F3、F4、F5と、一世代前と比べ大きく外見が変わってきたニコンのF一桁も、FからF2に進化した時の様に、内面の充実に重きを置いているといえよう。
 感覚的に言うならば、F5とF6の違いは、FとF2の違いと同じなのかもしれない。
 会場では、F5とF6が並んで展示されていたが、一般の人ならその違いは、カメラ本体の「F5」と「F6」の文字位しか気が付かないかもしれない。
 実際、ニコンの広報担当者が「外見でのF5との最大の違いは、F6と書かれた文字部分です。」と言って場内の笑いを得ていた。
 逆に言えば、それだけF5が完成された形であったとも言える。
 だが、実際は全くの新設計だそうである。
 グリップを握った感触はF5以上にしっくりきており、外見では判断できない、細かい部分でより改良が加えられているようだ。
 ニコン側も報道陣からの「F5と共通の部品はどれくらいあるのですか?」との質問に「F5と比べるとミリ単位で変更が行なわれております。正確な数はお答えできませんが、一般的な部品(ネジ等を指すと思われる)を除くと、ほとんどの部品が共用できません。」と答えている。
 
・縦位置での操作性向上
 
 外見で、F6と書かれた文字以外での大きな変更点は、F5と比べて明らかに握りやすくなった縦位置グリップと、縦位置グリップにセットされたメイン及びサブの両コマンドダイヤルであろう。
 これにより、一部のボタン類を除けば横位置でも縦位置でも同じ操作性を実現しており、ニコンF5の欠点と言われた「縦位置での操作性の悪さ」は、これで一気に解決した事になる。
 また、縦位置のコマンドダイヤルは縦位置シャッターに付いているスイッチと連動しており、これをOFFにする事よって縦位置のコマンドダイヤルが身体と接触して設定が変わるといったトラブルを防いでいる。
 ニコンによれば、縦位置グリップに圧力センサーをつけて「グリップが握られたら有効にする」方法も検討されたそうだが、報道機関での「激しく、過酷な撮影状況」でのトラブルを避けるため、見送られたそうである。
 しかし、アイデアとしては面白く、もしかしたらF100後継機の縦位置グリップには採用されるかもしれない。
 
・9点になった測距点
 
 では、ファインダーを覗くとどうだろうか?
 こちらもやはり、F5と同じ印象を受ける。
 多分、最初にF5との違いに気が付くのは、F5の「+」型5点から「田」型9点に増えた測距点であろう。
 (実際には、新しく追加された4点の測距点は、中央の測距点を中心として上下左右の測距点を結ぶ円周上に配置されている。)
 デジタル一眼レフ、ニコンD2シリーズは11点の測距点を備えている事を考えれば、9点は疑問が残る所である。
 実際、取材陣からもそこを質問されたニコンの技術者の方の回答によれば、35mmフィルムを使うF6では、ターゲットとするユーザーが求めるAF合致精度・速度を満足するのは9点が限界なんだそうだ。
 マウントの径がどうたら、イメージサークルがどうのといった話も出たが、そこは今後発売されるカメラ雑誌の特集に書かれる事だろう。
 確かに測距点の数ではキャノンに及ばないが、実用上では十分なレベルだといえる。
 (ニコンの技術の方が、メーカー名こそ言わなかったものの「(測距点の数が)45点あっても、遅かったり精度が悪かったり、使い勝手が悪ければ意味ないじゃないですか。」と言った事が、カメラ雑誌に掲載されるか楽しみである。)

 だが、背面のセレクターはF5と同じ+字型4方向にしか動かない。
 従って、中央から新しく増えた測距点へ動かすには、最低でも2操作必要である。
 ましてや右上から左下の測距点に動かすには、8方向の入力が可能なセレクターなら、2操作で済むところを4操作が必要である。
 ニコン側はこの点を「8方向も検討したが、動きすぎる事が決して操作性の向上になる訳では無い事が判明した為、採用を見送った。」との回答をしている。
 どうやら、8方向だと「論理的には正しくても直感的には変な動き」(例えば、左中央の位置でセレクターを右上に押すと中央上に移動する)をする事や、力の入れ具合による測距点の意図しない動きを嫌ったらしい。
 デモ機を操作した限り、確かに4方向でもストレスをあまり感じることは無かったが、8方向のセレクターを装備してカスタムセッティングで「4方向」「8方向」を選択できる仕様にすれば良いと思うのは筆者だけであろうか。
 しかし、操作性だけを言えば、キャノンが次期EOSで採用を検討していると噂される「測距点操作ボタン」+「トラックボール式シャッターボタン」による自由自在な移動よりは操作しやすいと思われる。
 (もっとも、EOSとF6では測距点の数が大幅に違うが・・・。)
 
・ユーザーニーズに沿った様々な改良
 
 F6は、F5から比べると大きな変更は少ないが、細かいレベルでは様々な改良・改善が行われている。
 
 ニーズの大きかった露出補正の設定がカスタムセッティングによって1/2段と1/3段の選択式になった。
 これにともない、ファインダー内の露出インジケーターも1/2段と1/3段の両対応になっている。
 実際には、1段につき3個ある表示部のうち、真ん中の表示部が2つの発光部から構成されており、1/2段が選択された場合は右(アンダー時)又は左(オーバー時)の
 半分だけ発光する仕組みである。
 
 また、F5では黒一色で見づらいとの批判もあった測距点の表示も改善され、選択された測距点は背景によって「黒」または「赤」に自動識別され表示される。
 筆者が、あえて「輝度の高い黒色系」の背景で試した所、「赤」表示されたので、単純に背景の「輝度」だけではなく、RGB測光の機能も加味していると思われる。
 また、カスタムセッティングによって「自動識別」のほかに「黒のみ」「赤のみ」の選択が可能である。
 この他にも、測距点表示に関しては別設定で「ピント不一致時は(赤色を)点滅する/しない」の設定が可能である。
 
 マニュアル・フォーカスレンズ派に嬉しいのは、F5では対応していなかった「絞りリング操作時のf値表示」も可能になっており、ユーザーのニーズを的確に反映している事が感じられ、ニコンファンとしては嬉しい限りである。
 
 また、感覚的な物でしかないが、F5に比べて重量バランスやグリップの形状、ミラーショックの軽減などが行われている。
 
・撮影情報をPCへ
 
 F5と同じく、F6でもカメラ本体をPCと接続し、撮影情報をPCで管理する事ができる。
 PCとは、F5と同形状のターミナルに専用コードを接続する事で接続できる。
 PC側は、F5のシリアル・ポート接続から、最近のPC事情を反映してUSB接続に変更になっている。
 USBであれば、カメラ本体にUSBポートを装備する方法もあるのだが、ニコン側によると「カメラ本体にUSBポートを装着した場合、防塵防滴性が悪化する恐れがあるので見送った」との事である。
 だとしたらニコンD一桁シリーズの防塵防滴性は悪いのだろうか、と思ったのは筆者だけではありまい。
 多分、スペースの関係で、理想的な位置にUSBポートを設置できない事が本当の原因ではないだろいうか。
 
 余談であるが、ニコンもF6から積極的に「防塵防滴性」をアピールしていくそうである。
 F3まではF3と報道向けのF3P(F3T、F3L含む)とで防塵防滴性が異なっていたが、F4からは一般向け/報道向けの区別無しに防塵防滴性の向上に努めてきた。
 こういった事はF一桁では「当たり前の事」として積極的にアピールする事は無かったが、競合他社がアピールし出した結果、「ニコンは防塵防滴性で劣る」とのイメージを潜在的に持たれる事を払拭する為だそうである。
 
 PC側へUSBケーブルで接続しても、残念ながら専用ソフト「F6フォトセレクタリー」が無い限りF6は認識されないし、撮影データの吸い上げも出来ない。
 ここは、F6のカスタムセッティングはともかくとして、撮影データの吸い上げだけでも専用ソフト無しで実現できるよう、ぜひ改善してもらいたいと思う。
 
 さて、カスタムセッティングであるが、F5以上に細かい設定が可能である。(ここまで設定できる必要があるかは疑問だが。)
 おもしろいのは、中央部重点測光時だけではなくスポット測光点の測光半径も設定できる事だろう。
 (これで、選択したAF測距点を中心とした「中央部重点平均測光」的な測光も設定できる!)
 もちろん、3D−RGBに対する設定も可能である。
 ある意味、今まではカメラメーカー側で設定していた「露出傾向」をユーザーが設定できるようになった、と言えるかもしれない。
 ただ、知識が無い人が設定した場合、露出がめちゃくちゃになる恐れがある為、ニコンは「設定が何に影響するのか理解できる上級者向け」としている。
 
・手軽にコマ間写し込みを!
 
 F80Sの予想外の人気が、F6にも影響しているのだろう、待望の「撮影データのコマ間写し込み機能」機能が手頃な価格帯でサポートされる。
 従来は「単機能(日付日時写し込み)」と「高機能(コマ間写し込み、ブラケット、インターバル、フォーカスプライオリティ等)」の2系統あったコントロールバックの構成が変更になったのだ。
 具体的には、「単機能」コントロールバック側に「撮影データのコマ間写し込み機能」が追加されただけであるが、F6と同時購入する価値のあるオプションである。
 これにより、F6に記録されるデータに「日時」が追加されるし、コマ間写し込みが可能になるのだ。
 ちなみに、「高機能マルチコントロールバック」だと、従来のMF−28の機能はもちろん、別売のGPSを接続する事によりF6側に「撮影位置」までも記録できる。
 
 なお、単機能コントロールバックとF6、F6−PC接続ケーブル、F6フォトセレクタリーをセットにした「F6 PC接続セット」が限定発売されるそうである。
 価格は未定であるが、各々の製品を単品で購入するより数万円安く提供する予定だそうである。
 
・さて、総合評価は・・・
 
 今だフィルムに「こだわり」を持ったユーザーで、F5以外のユーザーは、選択肢が二つある。
 もちろん、F6を購入する価値は十分にある。
 だが、F6買い替え需要で中古市場に大量に出ると思われるF5(又はF100)を狙うのも、良い案となるだろう。
 
 F5ユーザーであれば、F6は「発売と同時に購入する」必要は無いといえる。
 F5と同じ操作性は、機種変更による「慣れ」のハードルを低くしている。
 しかし、確かにF5から改善された機能は魅力的ではあるが、決して安いカメラではないのであるから、値段がこなれてからでも遅くは無い。
 だが、もし店頭でF6を一度でも触ったなら、そんな「一般論」はどこかに消え失せてしまい、「すぐにでも欲しくなる」だろう。
 もともと、F6に限らずニコンのF一桁とは、「スペックに現れない良さ」を持ったカメラなのだから。
 
 さて、ニコンのFヒトケタを愛するユーザーなら気になる「F6は最後のFヒトケタか?」について報道陣から質問があった。
 ニコン担当者は質問に対して困惑した表情で「F6の発表会でF7は出るのか、といわれても・・・、まだ何も決まってません」との事。
 そりゃ・・・、当然ですねぇ。
 
 



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