1997年 6月 1日
エレベーターの所在階数を示すランプが最上階近くから自分のいるフロアに近づく。機械音、そして扉が開いた。
エレベーターに乗っていたのは、知人一人だけだったのだが・・・。
「?」
彼はエレベーター内の壁によりかかっているのだが、片足を「く」の字に曲げて足の裏を壁につけている。右手はあごに、左手は右手のひじにあて、顔をすこし傾けている。
目が会ったとたん、彼はあわてて姿勢を変えた。
「なにやってるんですか?」
声をかけながらエレベーターに乗り込み、目的階のランプを押す。
「ん、ちょっと考え事を、ね。」
エレベーターはすぐに目的のフロアに到着した。
彼に軽く会釈をしてエレベーターを降りる。
もう、彼の事は脳裏から消えていた。
エレベーターの扉が閉まる。
再び一人だけの空間となったエレベーター内で、HARIは頭を叩きながら呟いた。
「うーん、ポーズの研究に没頭しすぎた。失敗失敗。」
撮影会前日の事であった。
※この作品は、多分フィクションです。(^^;