1997年 4月 6日

モデルをシャッター音で酔わせる

ポートレート撮影では、よく「モデルをシャッター音で酔わせる」といった事が言われる。
しかし、「モデルをシャッター音で酔わせる」と言っているカメラマン自身もシャッター音で酔っているのが本当の所ではないのだろうか。
そして、お互いが素面で酔った状態だから、良い表情が撮れるのではないだろうか。

「カメラマンも酔っている」説をもし疑うなら、ポートレート撮影中のアマチュア・カメラマンに対して「みなさんの撮影風景を取りますよ」と言ってカメラを構えてみると良い。
撮影中の自分の世界から現実に引き戻されたカメラマンは、まず逃げる事だろう。
(HARIは自分自身がポートレート撮影している現場写真は絶対に見たくないし、撮られるのもご遠慮したいのだ。)

さて、ポートレート撮影で「モデルをシャッター音で酔わせる」にはどうしたら良いのだろうか?
ポートレート撮影で「モデルをシャッター音で酔わせる」事は、実はシャッター音だけではなくテンポ良い撮影や的確なポーズ指示等が出来、モデルさんが乗ってきて初めて出来る技だと思う。
ただモードラ使って連写すれば良い、と言う物ではない。
(先に書いた「シャッター・ハッピー」状態は「自分だけが酔っている」状態なのだ。)

ここまで書いていて気が付いたのだが、「モデルをシャッター音で酔わせる」=「モデルを自分のペースに巻き込む」事なのかもしれない。
だとしたら、HARIにはまだまだ先の話だ。
今は「モデルさんに撮らされている」状態だからだ。
これは、なんとしても打破しなければ、と思っている。
そして、モデルとなってくれた女性に対して、お礼の意味を込めて「新しい」自分を見つけて貰えるように撮る必要がある。

しかし、実は案外「モデルをシャッター音で酔わせる」はカメラマンの思い上がりで、モデルさんはこんな事を言っているのかもしれない。

「カメラマンをポーズで酔わせて良い写真を撮ってもらわなきゃ」。



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