2003年 8月12日
画像追加 2003年 9月12日

ロボットに賭ける青春



・「スポコン?」「いいえロボコンです。」
 
 驚くべき事に、ロボットコンテストを題材にした映画が作成され、2003年秋に公開されるそうである。
 (この「独り言」執筆時点で、すでに映画は完成し、宣伝が開始されている。)
 狙いとしては、2001年に予想を反してヒットし、2003年には続編がTVドラマ化された「ウォーターボーイズ」の「文化系版」ではなかろうか。
 最近はロボコンといっても色々なコンテストがあるが、今回映画の題材になったのは、NHKで毎年放送される人気番組「アイデア対決・高等専門学校ロボットコンテスト」。
 (以下、特に注意書きが無い限り本文中の「ロボコン」は「アイデア対決・高等専門学校ロボットコンテスト」を指す。)
 
 この番組、開始当初は全国大会のみ放送していたのだが、いつのまにか地区予選まで(ゴールデンタイムではないにしろ)放送されている程の人気&ファンがいる。
 NHKでは、この他にも「大学部門」だとか「国際大会」とかを放送しているが、最初に放送が開始された「高専部門」こそ、日本における「元祖ロボットコンテスト」と言っても過言ではないだろう。
 (本家ロボットコンテストは、発祥の地・MITに譲るが。)
 
 ストリーは良くある話で「ロボコンに参加する羽目になった落ちこぼれの女子高専生のお話」らしい。
 なるほど、確かに「スポコン物」だと「落ちこぼれの運動部員が努力して才能を開花!」ってパターンが王道だが、その努力の過程はスポーツ系だと汗水流しての特訓となるから、男の方が向いている。
 (もちろん例外も多々あるが、漫画やアニメではなく「実写の映画」となれば、見栄えが全然異なる。)
 それに対して文科系なら、・・・やはり女の子だろう。
 もちろん、文科系だからといって「見た目綺麗で苦労する」訳ではないだろうが、少なくても「汚れたツナギを着て、スパナを持った手で額の汗をぬぐう」姿は男じゃ「小汚いだけ」だが、女性なら「華」があるに違いない。
 話がロボコンだけに、ワンピースを着て麦藁帽子を被った女の子が、大木の木陰でノートPCを膝に置きCADで設計する・・・筈もなく(^^;、きっと「なんで動かないのよぉ!」と泣きながらロボットを分解し(ここ、「ばらし」ってルビ入ります)、おかしな個所を泣きながら調べ、再度組み直しちゃテストする、の連続であろう。
 
 仕方が無く始めたロボット製作が、なんとロボコン全国大会出場する羽目になり・・・、という軸を中心に、やる気の無い男子メンバーとの葛藤や恋を織り交ぜながら、ついに全国大会が開催される!、ってな話に違いない。
 公開されているストリーからHARIが予想するに、全国大会決勝では「惜しくも敗退」。
 
 ラストシーンは「よーし、来年こそは優勝を狙うぞ!」と(当初はやる気の全く無い&団結しない)メンバーが「やる気満々&和気藹々と」学校に帰るシーンを後ろから写して終わりに違いない。
 そして、スタッフロールが終わると「To Be Continue」の文字・・・。
 あ〜、なんだかストリーが見えてきちゃった気がするな。(^^;
 
・ロボコンになれなかったロボコン、マイクロマウス
 
 「マイクロマウス」というロボットコンテストがある。
 この「マイクロマウス」、歴史はロボコンよりも古いが、ロボコンほど人気が無い。
 ルールは簡単、会場に作られた迷路(それも、人間なら上から見れば簡単に出口までの最短ルートが見つけられるレベル)の中を、マイクロマウスが各種のセンサーから読み取った迷路情報を自分で処理して(人間の操縦・介入なしで)いかに早く出口までたどり着く事にある。
 この競技の「奥の深さ」は、マイクロマウスが同じ迷路を2回挑戦できる事にある。
 1回目で「様々なルートを記録し」、2回目で「記録したルートのうち、最短のルートを自分で判断して走破する」事が要求されるのだ。
 (当然、人間がマイクロマウスに対して迷路情報を入力する事は禁止されている。)
 例えば、1回目は入り口の右(あるいは左)の壁を常に触って最初は迷路を脱出する。
 2回目は、1回目のルートを分析(つまり、袋小路になるルートや無駄なルートを除く)して、あとはスピード勝負で走破すればよい。
 (あくまでも、例だが)
 
 すなわち、マイクロマウスは「ソフトが命」のロボットコンテストといえる。
 それに比べてロボコンの面白さは毎回異なる競技が出題される為に、毎回設計思想が異なるハードが作られる事と、人間が操縦する事だろう。
 迷路という毎回「道順は違うが」同じルールと、毎回異なる競技内容。
 開始したらロボットまかせで人間は見ているだけのマイクロマウスと、操縦者の駆け引きすら発生するロボコン。
 「ロボットは人間が操縦しなくちゃ」という想いが「ロボコン」の人気を押し上げたのはHARIの思い違いだろうか?
 
・ベースはこの話?
 
 数年前に放送されたロボコン全国大会でロボットとは無関係の学科(記憶が正しければデザイン系)の女の子たちのグループのロボコン挑戦が「本大会のサイドストリー的に」番組内で放送された。
 
 ロボットの構造を知らない女の子たちゆえ、「競技を実現する」コンセプト・デザイン(アイディア)はロボットを作ろうと思う学生が考えつかない斬新さはあったが、実現の可能性が極めて低いデザインばかり。
 結局、無難なアイディアを採用したデザインで作り始めたが、模型すら組み立てた事が無い女の子が期限まで完成する筈が無く、学校内予選ではぴくりとも動かない結果で終わる。
 その後、そのグループは大会が終わっても、「競技が出来るようになるまで」そのロボットを作る、って話だったと記憶している。
 
 女の子が主人公で動かないロボット。
 ロボコンが学校を挙げた行事になった今、こんな話は良くある事だろう。
 ロボコンを巡る様々なエピソード、製作者側はストリーを作るのに高専高校を色々と取材している筈なので、それらが映画に織り込まれている事は十分考えられる。
 (まだ映画が公開されていないから、どんなエピソードがあるか知らないけど。)
 NHKの放送では見られないロボット製作の裏側、観て見たいものである。
 
・ブームになったからつまらない?
 
 と、ここまで書けば、いかにHARIが「ロボコン好き」かと思われるが・・・、正直最近の(NHKの)ロボコン番組はほとんど観ていない。
 大学部門や国際部門は、「技術的に纏まりすぎていて」面白みに欠ける気がする。
 そして、高専部門も「ロボコンをやる為、高専に入学する」生徒(=、ロボット作成の知識を入学前から勉強している)が多いためか、独創性に欠けてきている気がするのだ。
 (つまり、常識に縛られているのだ。)
 
 ロボコンの枕詞「アイディア対決」の名前が示す通り、かつての高専部門は「すげー!」と感嘆したアイディアを実現したロボットや戦法が多かった。
 HARIは、TVの前から何度「ロボットに」「アイディアに」「戦法に」幾度拍手を送ったことか。
 ガスを使った気球で空中に浮かび上がったロボット。
 (スタジオ内の照明による熱でうまくコントロール出来なかったが)
 「自軍のゴールポストにボールを入れると勝利」のルールでは、機動力を駆使して「相手のゴールポストにボールを先に入れ、相手の勝利を無くした後に悠々と自軍ゴールにボールを入れる」戦法を取った高専。
 (この高専、決勝戦で「相手のゴールにボールを入れた」迄は良かったが、相手チームがこの高専のゴールにボールを入れて千日手となり、「相手のゴールにボールを入れない」ルールで実施した再試合した負ける。)
 こういった、大会初期の独創性と面白さの背景には、当初のロボコンは「全国の高専の有志(あるいはクラブ)が、学校とは無関係に「学校からの課題でも単位を取得する為でもなく、自分のアイディアや技術を公開する為」参加していた(と、思われる)事にあると思う。
 だからこそ、突飛なアイデアの企画が通るし、実現できたのではないか、と。
 しかしながら、ロボコンは図らずも「有名に」なりすぎた。
 
 「高専の甲子園」「理数系の甲子園」は大げさではあるが、少なくても「学校の名前を全国に知らしめる」効果は絶大である。
 (特に、優勝した学校や優れたアイディアを実現した学校は。)
 
 だからこそ全国の高専が(そして高等専門学校協会連合会が)、高専の名誉をかけた大会として本腰を入れ始めた時から(HARIが感じる面白さは)薄れていったのではないだろうか。
 HARIが「ロボコンの魅力が薄れた」と感じた時と、高等専門学校協会連合会が本腰を入れたと思われるタイミングの一致は偶然なのだろうか?
 学校内予選や書類選考が行われた結果、「個性の強い」ロボットは淘汰されている・・・と考えるのはHARIの考えすぎなのだろうか?
 (あるいは、ロボットを作る学生の気質が変わったのだろうか?)
 この事を象徴するかのように、映画には「合理的で無駄が無く、集団行動でシステマチックにロボットを開発する」第1ロボット部が登場するらしいのだが。
 (当然、主人公達は「おちこぼれの」第2ロボット部に所属。)
 
・2003年9月13日、東宝系で公開
 
 などといったHARIの想いとは別に、すでに映画は完成。
 2003年9月13日、東宝系での公開を待つのみとなっている。
 この映画の最大の疑問は、「どんな層をターゲットにしているか」あるいは「どんな層が食いついてくるかわからない」点であろう。
 ロボコンに出場しようと思う高専生徒がこの映画で学べる「技術的な部分」は期待できないと思われるし、ロボコン出場を目指して高専を受験する中学生が求めている青春像とも違う気がする。
 「男がシンクロ!?」に比べてインパクトも少ない。
 人気爆発中のアイドルが主演している訳でもなさそうだ。
 (すまん、主演の長澤まさみ嬢について執筆時点で良く知らないのだ。)
 
 さて、この映画はヒットするのだろうか?
 そして・・・、HARIは観に行くのだろうか!?
 
 

 2003/9/13 映画封切りを記念して
 本映画の「影の」主役、BOXフンドの右肩にある「ねこじゃらし」のアップ(^^;
 

 



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