2003年 3月23日

トノサマだと思っていたのに・・・。


 知らなかった、本当に知らなかった。
 物心ついた時から、あなたの事をずっと「トノサマ」だと思っていた。
 子供の頃、あなたは僕にとって「トノサマ」以外の何者でもなかった。
 いや、僕だけじゃない、周りの友達も子供たちも、大人たちですら「トノサマ」だと思っていた。
 トノサマだと、トノサマだと思っていたのに・・・。
 
 それなのに、それなのに。
 いいえ、あなたが悪いわけじゃない。
 あなたは一言も自分が「トノサマ」だとは言っていなかった・・・。
 だけど、だけど、だけど・・・、
 トノサマだと、トノサマだと思っていたのに・・・。
 
 あなたは、僕の一番のお気に入りだった。
 池や沼や小川に、ぼくはあなたの姿をいつも探していた。
 あなたを見ると、ぼくはうれしかった。
 あなたをいじめた事もあった、でもぼくはあなたが好きだった。
 トノサマだと、トノサマだと思っていたのに・・・。
 
 アマでもウシでも、ましてやガマでもない、
 「トノサマ」の称号にふさわしい姿、そして声、だからこそ・・・、
 トノサマだと、トノサマだと思っていたのに・・・。
 
 あなたが「トノサマ」だったから好きになったんじゃない。
 でも、あなたが実は「ダルマ」だったなんて・・・。
 確かにあなたは「トウキョウ」の名前を冠にいだいている、でも「ダルマ」だったんだ。
 トノサマだと、トノサマだと思っていたのに・・・。
 
 でも、ぼくはあなたがすきだ。
 たとえ「トノサマ」じゃなくても。
 
 
 
 
 
 ・トウキョウダルマガエル
 関東地方で「トノサマガエル」と呼ばれているカエルは、実はトウキョウダルマガエルである。
 (トノサマガエルは関東地方にはいない、とされている。)
 
 トノサマガエルとは、通常の姿勢で後ろ足の「かかと」が付いているか離れているか等で見分けることができる。
 



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