2002年 4月14日

いつか見た夕焼け 〜クレヨンしんちゃんで涙するとは・・・〜


 先日、TVでクレヨンしんちゃんの劇場版第九作(2001年度公開)である「クレヨンしんちゃん・嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲」を観た。(東京で2002年4月12日放送)
 実は、HARIはそれまで「クレヨンしんちゃん」について話には聞いていたし、多少は知っていたものの、アニメはもとより原作すら読んだことは無かった、興味も無かった。
 それが、TVとはとはいえ劇場版を観る気になったのは、ラジオで聞いた評判を覚えていたからだ。。
 番組は忘れたが、ゲストである「元・スタジオ・ジブリ」の木原浩勝氏(都市伝説で有名な方ですね)が、お勧めのビデオとしてこの作品を推奨し、司会者の「選んだのがクレヨンしんちゃんですか・・・?」との問いに「これは大人が見て泣けるアニメです。」と断言した事を覚えていたからである。
 
 ストリーは、子供にでも理解できる簡単なもの。
 春日部にオープンした「20世紀博」にオトナが熱中し20世紀(というより、1970年代)がブームになる。
 だが、この「20世紀博」には壮大な陰謀が隠されていた。
 その陰謀に立ち向かうしんのすけ、そして野原一家。
 
 まぁ、話半分という事で、あまり期待しないで観たのだけど・・・。
 全編に漂う1970年代の雰囲気、そして「深い」テーマ。
 甘く見ていた、「クレヨンしんちゃん」という先入観で


 甘く見すぎていた。

 この映画の製作者は確信犯である、これは絶対に子供向けではない!
 少なくても、表向きは「子供」であるが、「真の対象者」はオトナなのだ。
 木原浩勝氏の発言は正しかった。
 確かに「この映画の製作者が意図した真の対象者」である大人が観たら絶対に

 泣ける!

 HARIが一番「ジーン」ときたのは、しんのすけの父親・ひろしがしんのすけによって正気を取り戻すシーン。
 これは、「ある条件を満たす男」なら絶対に「泣ける」シーンである!
 もし「ある条件を満たす男」で、このシーンを観て「感動しない」「泣けない」といった男がいるなら、そしてこの映画を「つまらん」「わからん」と言うなら、HARIはその男とは絶対に友人にはなれないと断言しよう。
 
 こんな名作を、「クレヨンしんちゃん」という先入観で知らなかった事が悔やまれる。
 そして、偶然にもラジオを聞き、そしてTVとはいえ観る事が出来た事は非常に幸運であったと言える。
 
 この映画を観て感じたのは「訴えたいテーマ」を伝えるのに手段は関係無い、という事だ。
 少なくても、この映画で「訴えたい」とHARIが感じたテーマを表現する手段として「クレヨンしんちゃん」は「最も適さない」物といえる。
 しかし、この映画では、それを見事にやってのけたのだ。
 難しいテーマを難しく表現するなら、誰にでも出来る。
 だが、この映画は「頭」ではなく「心」に訴える事に成功したのだ。
 この映画を見た後では、庵野秀明の「新世紀エヴァンゲリオン」が「カッコ付けて中身の無い薄っぺらい男」にしか思えない。
 
 あまり内容に触れるとネタバレになる危険があるので、ここまでにしておくが、HARIの中では「非・戦闘物アニメ」の第一位「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」に匹敵する出来だと言えよう。
 
 もし、以下の設問を、記憶だけで全て答えられたら、この映画は絶対に見る価値がある。(少なくても、ビデオのレンタル料金の価値は絶対にある。)
 
 1.「人類の進歩と調和」が「何の」テーマであったか知っている。
 2.子供の頃、「月の石」を見たかった。(あるいは、見たことがある。)
 3.「魔法使いサリー」「ウルトラマン」「ケンちゃんシリーズ」を見たことがある。
 4.子供の頃に思い描いていた21世紀はこんなんじゃないと思う。
 
 さぁ、レンタルビデオ店へ走れ!
 



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