2002年 2月22日

レンズ購入断念記


 今年になってから、HARIの思惑とは別に「事実上の」主力レンズとなっているシグマの28-70mmF2.8を某社の28-80mmF2.8に買い換えようと考えていた。
 これは、シグマのレンズが逆光に弱い事に由来している。
 (本当はAF-S28-70mmF2.8Dが欲しいのだが、実売価格ベースで3倍もの開きがあっては、さすがに購入できない。)
 しかも、「買い換えたいモード」は2月に入って急上昇、場合によってはいつ「カード払いで購入」してもおかしくない状態であった。
 しかし先日、新宿の某有名カメラ量販店での店員の説明を聞いて、一気に「買い換えたいモード」が急降下してしまった。
 ここでは、いかにして「衝動買い寸前だった」HARIの「物欲モード」を見事に「鎮火させてくれた」店員との会話を再現してみよう。
 文中、( )内はHARIの心の呟きである。
 
 なお、この独り言では、特定メーカー及び特定メーカーの製品を誹謗・中傷する気は全く無い。
 会話については、思い出しながら書いている為に完全ではないが、内容については「某カメラ量販店」の店員の発言に基づいている事を記載しておく。
 
 場所:新宿の大手カメラ量販店・カメラ売場
 時刻:平日20:00過ぎ
 状況:HARIは、ニコンF100に装着された28-80mmF2.8をいじっている。
 
 店員:「お客さん、それ(28-80mmF2.8)は良いレンズですよぉ。」
 HARI:「はぁ。」
 店員:「さっきも、外人のお客さんがきて、何でみんなニコンのカメラには純正でもないのにこのレンズを付けているんだ、って聞かれましてねぇ。」
 HARI:「ほぉ。」(そりゃ、純正であるAF-S28-70mmF2.8Dなんて、そう簡単に買えないもんなぁ。)
 店員:「最終的には、その外人のお客さんもこのレンズを買っていかれましたよ。」
 HARI:「ほぉ。」
 店員:「私も、この前のモデルを使っているのですけど、性能は段違いに良くなっていますよ。」
 HARI:(セールストークの基本である、「私も使っていますけど」かなぁ。)「そんなに違いますか?」
 店員:「違いますねぇ、私は前のモデルを買った事を後悔している位の差はありますね。」
 HARI:ピントリングを前後に動かしながら「このモデルから、これで(ピントリングを前後に動かす事)AFとMFの切替が出来るけど、耐久性は大丈夫?急にMFに戻らないとかAFにならないとかは、無い?」
 店員:「発売当時から、これ(展示品のレンズ)をみんなでガチャガチャやりましたけど大丈夫ですね。前のモデルはAFとMFが切り替えられる場所が決まっていたのですが、ポイントがなかなか見つけられなかったり、見つけてもギアが噛んで切り替えにくかったりしましたけど、これはよく出来ていますよ。」
 HARI:「へぇ・・・。」
 店員:「それに、前のモデルはお客様からクレームが良くありましたけどねぇ。」
 HARI:(旧型はクレームが良くあった?知らないぞ、そんな話?)
 店員:「こちらのモデルになってからは、私の知っている限り1回しか無いですよ。」
 HARI:「どんなトラブルですか?」
 店員:「いや、これが必ず再現しちゃう完全なトラブルでして・・・、検査官が居眠りでもしてたんじゃないかっていう位のトラブルでして・・・。」
 HARI:「はぁ。」(おいおい、この会社の品質管理体制は、大丈夫なのか?この店員はこんな事を言っていいのか?)
 店員:「このモデルはそれだけで、旧型に比べて当たりはずれが無いですよ。」
 HARI:(当りはずれって・・・、前のモデルってそんな状態だったのか?)
 店員:「あ、そうそう、お客さんで一人だけ、ここ(レンズ前がプロテクター構造になっていて、レンズ全長か変わらないがその内側は前後の移動する。)を見て、ホコリが入るからダメだ、って言いましてね。
 HARI:(う、そういわれてみれば・・・、そういえば某中古店で見たこのレンズ、3本中2本にホコリが入っていて、残り1本は余り使われた形跡の無い新同品だったなぁ。)
 店員:「でも、フィルター付ければ平気なんですけどね。」
 HARI:「なるほど。」(と言いつつも不安は解消していない。)
 店員:「あと、このピントリングも前後に動くので、ホコリが入るのじゃないかって言ってましたけど、そこまで防塵性を追求したらこの価格では出せないですからねぇ。」
 HARI:「レンズ、外しても良いですか?」(このレンズ内のホコリ侵入状況を確認したくなったぞ。)
 店員:「どうぞどうぞ」
 HARI:絞りをガチャガチャ動かす。
 店員:「あ、円形絞りじゃないですよ、でも十分ですよ。メーカーさんとしては、こういった所でコストダウンしているので・・・。」
 HARI:「なるほど。」とボディにレンズを付ける。(ホコリらしき物は見当たらなかったけど・・・、購入した後が心配だなぁ。)
 店員:「レンズフードも内側に植毛していて、この価格帯のレンズとしては別格の出来ですよ。」
 HARI:「そうですね。」
 店員:「さっきも、ニコンにはなんでみんなこのレンズを使っているんだ、って外人さんが来て、買っていかれましたし。」
 HARI:(この話は実話かもしれないけど、昨日今日の話じゃなさそうだなぁ・・・。)
 店員:「この価格でこの性能、20万円以上もするレンズだと使うのをためらったりしますけど、この価格ならガンガン使えますよ。」
 HARI:「あのー、私はAF-S80-200を使い倒していますが・・・。」
 店員:「・・・、あのレンズは良いレンズですからねぇ・・・。」
 店員:「純正のAF-Sは3倍の値段ですから、あちらを買って15年使う事を考えると、15年使えればですが、こちらを買ってガンガン使って5年毎に新型に買い換えたほうが良いですよ。」
 HARI:(なんで5年毎にレンズ買い換えないといけないのじゃ!)「5年しか持たないのですか・・・?」
 店員:「いえいえ、普通に使えば5年以上は十分にもちますけどね、レンズメーカーさんとしては、やっぱり5年位で買い換えていただかないと商売が成り立ちませんからねぇ。」
 HARI:(それって、やっぱり耐久性が無いって事を遠回しに言っているだけじゃ・・・。)
 HARI:「では、検討して出直してきます・・・。」
 
 結論から言えば、HARIが購入意欲を無くしたのは、製品に対する不安を店員の言動から感じたからである。
 店員としては、旧モデルとの差を表現して「いかにお買い得」であるかをアピールしたかったのであろうが、HARIには全くの逆効果であった。
 
 そもそも、HARIは「旧モデルにクレームが良くあった」「新モデルには1件しかない」との言葉から感じたイメージは「旧モデルは設計にミスがあった」か「このメーカーの品質管理が十分ではない」だけで、「新モデルは旧モデルに比べて品質が格段に優れている」とは全く思わなかった。
 ましてや、このモデルに発生した1件のクレームが「検査官が居眠りしていて見逃したかのようなトラブル」などと言われたら、そのメーカーの品質管理体制に不安を抱くのは当然であろう。(それが事実と異なるとしても。)
 
 もしかしたら、このレンズを購入する事になるかもしれない。
 でも・・・、それはすでに「今日・明日」の話では無い事は確かだ。
 
 
 <2003/03/23追記 結局、HARIは標準ズームレンズを2002年末に買い換えた。そのモデルはなんとNikon AiAF-S 28-70mmF2.8D!。そう、店員に「使う事をためらっちゃう」と言われたレンズ。でもガンガン使ってます。(^^;>
 



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