「牛柄(カウ・スポット)」でおなじみの直販PCメーカー、日本ゲートウェイ株式会社(以下、GATEWAY)が日本からも「即時に」完全撤退する、とのニュースが流れたの位は2001年8月29日の事だ。
「即時・完全撤退」を裏付けるかのように、WEBサイトに「お知らせ」が提示され販売は停止、各地の直販店は閉鎖された。
社員全員が解雇され、ユーザーに対するサポートは「引き受け先を探している」状態だそうだ。
トップレベルの顧客サポートを売り物にしてきたメーカーらしからぬ見事な引き際には、ユーザーサポートを期待して購入した人にとってはショックだろう。
だが、かつての「日本法人設立時の騒動」を知っている身からすれば、「またか・・・。」としか思えない。
そう、GATEWAY日本法人設立時(1995年、当時はGATEWAY2000)にも、当時の日本総代理店と「サポートの引継」に関する騒動があったからだ。
前回は、当時の日本総代理店・日商岩井からGATEWAY日本法人がサポートを引き継ぐような形になったが、今回はそう簡単に「サポートを引き受ける」企業が簡単に見つかるとは思えない。
なぜなら、保守用部品の保管には「保管場所」が必要であるし(最近は「在庫量の軽減」をいかに行なうか、各社が苦労している事は周知の事実だ。)、サポートだけでは「企業にとってうまみが無い」からだ。
そういった問題をクリアする前に、赤字を解消する為とはいえ欧州や日本から「あっさりと」撤退したGATEWAYには外資系企業のクールさを感じる。
(日本法人設立時は、日本市場開拓に努めた日本総代理店「日商岩井」を「事前相談もなく、あっさりと」切った経緯を知っているので、なおさらである。)
こういった批評めいた事を書いてはいるが、GATEWAYは好きなメーカーなのだ。(この「独り言」の事実上の最初のネタはGATEWAYなのだ。)
そしてHARIも、GATEWAYとは浅からぬ縁がある。
今のメインマシンもP5-120J改MMX-Pentiume233Mhzであるし、HandBookやLibertyといったサブノートPCを愛用していた。
GATEWAYが1995年に日本法人設立を決めた背景には、PCショップの並行輸入や個人輸入量が米国GATEWAY2000に大量に発注された事が要因の一つである事は間違い無い。
(当時、有名PCショップの店頭に、文字通り「山のように」つまれた牛柄箱を今でも思い出す。)
そして、Windows95ブームの前兆(=PC販売量の爆発的な増加)、これらが「思い立ったが吉日」かのような急激なGATEWAY2000の日本法人設立の引き金になったのだろう。
GATEWAYは日本市場でもヒットした。
(米国本社社長がみずから「モーモー太郎」となった広告は、今でも忘れられない。)
かつて、「安く早いが、初心者には向かない」(当時は米国仕様、つまり日本語OSや日本語対応ドライバをインストールして日本語環境を自分で作る必要があった)と言われたが、初心者が購入するに最適とまで言われるようになった時期もあった。
ここでGATEWAYは間違いをおかした。
PCブームに乗って、米国本社は「法人市場」や「サーバー市場」に目をむけ、そしてそれは思うように利益を上げなかった。
(本来、GATEWAYは個人向けPC直販メーカーなのだから、当然といえば、当然だが・・・。)
追い打ちをかけるかのように、激化したPC低価格戦争。
その仕掛け人の一社であるはずのGATEWAYが、争いに負けたのだ。
以前にも書いたと思うが、今回のGATEWAYの日本からの完全撤退で思うのは、ユーザーがいくらメーカーに愛情を注いでも、メーカーによっては「その想い」を受け止めてくれない場合があるという事だろう。
GATERWAYが日本での知名度(ブランド・イメージ)を引き上げたのは、自ら「牛飼い」と称して知名度アップに貢献したパワーユーザー達の努力もある。
(GATREWAY2000が当時の国産PCより安価だった事も否定しないが・・・。)
そして、パワーユーザーの中には、そのまま日本GATEWAYに転職した人たちもいる。
そういった人達の想いを切って、GATEWAYは「日本法人設立」の時と同じように、前触れもなくあっさりと去っていく。
・・・、もしかしたら、メーカーに想いをよせるには日本人だけなのだろうか・・・。
そして、その想いを理解してくれるのも日本のメーカーだけなのかもしれない。
一部には、「これでGATEWAYは昔の様に「ハードルが高いメーカーに戻ってくれる。」といった考えの人もいるようだ。
だが牛飼い達が、個人輸入までしてGATEWAYを購入したのは、海外からの送料を払っても国内メーカーより安価に高性能PCが購入できたからだ。
今の低価格戦争のなか、もしGATEWAYを米国から個人輸入までして購入するとしたら、それが「GATEWAY」のブランドが欲しいユーザーだけであろう。
GATEWAYは、終わった。
HARIは、万感の思いを込めて言おう。
さよなら、GATEWAY。
"You've got a friend in the business."
"Yes,I had the friend in the business."
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