2001年2月24日

Windows終焉の兆し


 

 今、Windowsは終焉が見えてきたような気がしてならない。
 そう感じるには、訳がある。
 かつて、あれほど話題になったWindowsの新バージョンが、98を境の段々と盛り上がりにかけていっているからだ。
 
・Windows9xとWindowsNT戦略の失敗

 マイクロソフトとしては、本来、MS-DOS時代からの「過去の遺産」を抱えている「Windows9x系」は、すでに「終わったOS」となるはずだった。
 しかし、計画は後れに遅れ、やっと「Windows9x系」と「WindowsNT系」を統合すべく市場に送り出したWindows2000は、その目的を達成できなかった。
 マイクロソフトは、場つなぎにWindowsMeを出したが、Windows98やWindows98SEから乗り換えるメリットを考えると「?」である。
 (さすがに、Windows95からの乗り換えはハードが許せばメリットは大きいが。)
 Windows2000が思ったより普及しないのは様々な問題がある。
 Windows2000は、ある意味で「過去からのしがらみ(レガシー)を絶つ」OSである。
 その事によって、システムの安定性を(Windows9x系に比べて)を高めた。
 その見返りとして、Windows2000では動かないハード、ソフトが少なくない。(皮肉なことに、新製品であっても、だ。)
 しかし、今でもWindows9x系は、家庭で使う分には十分の安定性を持っている。
 そして、企業だって数多く導入したPCを今更「2000シリーズ」(Windows2000/Office2000)にアップグレードする価値を見出していない。(不況の影響もあるが・・・。)
 WindowsMeだって、98や98SEから乗り換えるメリットは無いと言われている。
 もしWindows98が発売されず、「Windows95」と「WindowsNT3.51」の後継となる(本来の目的であった)「統合されたWindows」が発売されたら、こんな2系統のWindowsにならないで済んだのだが・・・。
 そう、Windows2000は、あまりにも登場が遅すぎたのだ。
 コストを掛けて作った割には、思ったより売れないWindows2000とOffice2000。
 マイクロソフトは2001年後半に出荷予定の次期Windowsでネーミングを「年号」から「XP」に変えて巻き返しを図ろうとしてるが、これも失敗しそうな気配が濃厚である。
 
 何故なら、そのコアはWindows2000であり、新たに販売されるハード・ソフトがWindows2000に完全対応していかない限り、動作保証の問題に突き当たるからだ。
 
・インパクトが少ない「新機能」

 Windows3.1からWindows95は、大きく進化を遂げた。
 まさに、フルモデルチェンジである。
 アップグレードする価値は、多いにあった。
 だが、Windows95から98は?
 新しい規格(例えば、USBやFAT32)に対応したWindows95のマイナーチェンジでしかない。
 98SEも、Meも、Windows95を改良して、新しいハード/ソフトの規格に対応した製品であるだけだ。
 (それがゆえに、Windows95に対応していないハードが数多くなってきたので、Windows95の製品寿命は終りを迎えつつあるが・・・。)
 もし、Windows2000が「お金を掛けてもバージョンアップする必要がある。」と思えるような機能は、無い。
 少なくても、広大なメモリ空間や安定性といった事だけでは(重要な事柄ではあるが)魅力に欠ける。
 ましてや、動かないハード・ソフトが少なくない現状ではなおさらだ。
 
 WindowsXPは、ユーザーインターフェースを「より分かりやすく変更した」とされている。
 だが、それでなくても「似ていて微妙に異なる」Windows9x系及びWindowsNT4.0、Windows2000にユーザーは戸惑っているのに、さらに新しいユーザーインターフェースが登場するのだ。
 これは、メーカー側(特にソフト業界)には、悪夢以外の何者でもない。(もっとも、出版業界は「似て異なるノウハウ本」で儲けられるかもしれないが。)
 
・コスト

 家庭でも企業内でも、PCは普及している。
 新しく購入したPCをWindows2000にするメリットはあるが、企業では未だにPentiumeクラスのマシンが現役で残っている。
 (PCのリーズや減価償却の期間を考えてみれば分かる。)
 それを、今の経済状態でコストをかけてアップグレードするほどの価値をWindows2000は持っていない。
 家庭だって、同じである。
 インターネットメールやWWWで使う分には、PentiumeIIクラスで十分である。
 (現に、HARIのメインマシンはMMX-Pentiume233Mhzだが、PhotoShopを使う時以外は遅さを感じない。)
 マシンの性能を必要とするゲームだって、PCのコストを考えるならPS2を買った方がよっぽどマシである。
 
 ビデオだって安いが、すでに持っている一般ユーザーは「壊れたから買い換える」くらいで、新機能が搭載したからといって、その為だけに(十分使えるビデオを)買い換えたりしないだろう。
 
 PCの家電化は、ピークをすぎた後は「買い替え需要」がメインになる事を示している。
 となれば、一般家庭なら、買ったPCを5年は持たせようとするだろう。
 それでも、年間の出費はネット接続料金を考えると2万円以上になる。
 一般家庭にとっては、少なくない出費である。
 
 つまり、マイクロソフトがどう頑張っても、XPが発売されたとしても大きな買い替え需要はおこならい。
 それどころか、Windows98、WindowsMe、WindowsNT4.0(さすがにWindowsNT3.51系はなくなるだろう)、Windows2000といった複数のOS製品が存在することになる。
 これは、Windows市場にとってデメリットの面が大きい。
 サポートするOSが複数になるのはコストがかかるからである。
 (それでなくても、ハードのチップセットによる非互換が発生しているのに、である。)
 
 
 かつて、ビル・ゲイツが嫌った「大きく、重い」プログラムの集合となったWindows。
 恐竜的進化の先には、何が待っているのだろうか。
 
 もしかしたら、HARIが気が付かないだけで「隕石」はそこまで迫ってきているのかもしれない。



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