メーカーの製品の不具合をユーザーに指摘されたものの、メーカーの対応が適切でなかった為にネットワーク上でユーザーの不満が爆発した。
この文を読んで、どんな事件を想像するだろうか?
多分、多くの人が想像するのは「東芝VHSクレーム事件」であろう。
しかし、この話はその昔、パソコン界を揺るがした「バク・ペン」騒動の話である。
事の発端は、ユーザー(といっても、研究者だが)が発見した「ペンティアムは、ある計算を行なうと誤った答えを出す。」との不具合に対して、インテルが「その不具合が発生するのは、外を歩いていて隕石に当たる位の確立だ」と発言、無償交換を拒否した事に始まる騒動である。
(ちなみに、対象となったペンティアムは60/66/90/100Mhz)
当時、インターネットなどはまだごく一部の人達の物でホームページも一般的ではなかった。
当時のネットワークといえばパソコン通信、Niftyなどの会議室で抗議が盛り上がった。
HARIが参加していたNiftyのフォーラムでは、会議室にものすごい量の発言が書き込まれ、急遽「バクペン会議室」が臨時に解説されたほどである。
ペンテアムマシン(知る人ぞ知る、名機GateWayP5-90J)を購入直前の状態であったHARIは、この事件により購入を保留した。
そして、ペンティアムマシンを持っていなかったにも関わらずインテルに対する抗議メッセージを会議室に書き込みした。
その動きは、まだPCが一般に浸透していたとは言えない状態であったにも関わらずマスコミを動かし。大手日刊新聞にまで問題が掲載された。
結果として、インテルはペンティアムの無償交換に応じ、事件は下火となった。
その頃に会議室に書き込まれた、ある方の発言が妙に気になった。
その発言は、こう結んであったのだ。
「また、ネットワークの怖さを思い知った」と。
当時、インテルのペンティアム無償交換の話を「ネットワークの勝利」と喜んでいたHARIは、この一言に違和感を覚えた。
「ネットワークの怖さ」
HARIには理解できない言葉であった。
だが、今では十分に理解できる。
「ネットワークは、怖い」と。
ネット匿名性と明確でない責任所在や、飛び交う情報(たとえ事実の情報であったとしても、断片的な事実だけでは全体が見渡せない。事実と真実は別物だ)、そして怒れる善意の人々
それらがネット上に集約した時のエネルギー。
HARIは、恐怖する。
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