W.L.O世界恋愛機構~LOVE LOVE SHOW~(あかべぇそふとつぅ)
2009年3月に発売した「W.L.O世界恋愛機構」のファンディスク。昨今では素早い半年での登場となりました。発売前のスタッフブログや代表者の本編売り上げが芳しくなかった発言など耳聰いファンはきな臭ささえ感じていましたが果たして。
購入動機は言うまでもなく本編がそれなり以上に気に入ったから。
初回特典は特になし。
修正ファイルが公開されています。およそあてないことにはコンプリート不可能だと思われますので必ずダウンロードしましょう。
コンテンツは1種類、すなわちアフター&アナザーショートストーリー集のみ。
ジャンルはアドベンチャーですが、ちょっと変わっていて補足を必要とします。まずシステム上の主人公は本編の主人公であった黒田祐樹ではなく、チョイ役として出ていたN.O.A次期エースのライカ。彼女をプレイヤーキャラとして3-11に転校し、黒田祐樹に関する噂を聞き込みしていきます。その噂こそがコンテンツであるショートストーリー集です。
この聞き込み部分がとても面倒。しょうもない事務会話同然の掛け合いを繰り返してひたすら噂を収集するのみ。本編では個性を見せていたクラスメイトたちもここでは素っ気ないお役所と変わりません。存分にたらいまわされるでしょう。実際、プレイするのに重要なのはクラスメイトの名前よりも出席番号だったりします。
また、クラスメイトの誰が、どのショートストーリーを持っているかわからないため、自分の望む順でゲームを進めることが難しくなっています。目星がついてうっかり後回しにしたりすると、メモしていない限りそれが誰であったが容易にわからなくなってしまうでしょう。よってセーブも場所を選ぶことに。
シナリオに平然と矛盾を抱えていますし、率直に言って顔すらよく分からないキャラを中心にゲームを進めてもあまり楽しい気分にはなれないと思います。
足回りは本編そのまんま。ゆえにあまり使い勝手がいいとは言えません。メッセージスキップは既読未読を判別して高速ですが、内容が内容だけにほとんど使うことはないでしょう。聞き込み画面では使えません。
バックログは別画面にて行います。ホイールマウスに対応、ボイスのリピート再生も可能ですが、ほどほどしか戻れない上にロード直後は使えません。
ワイドモニターに対応した画面の縦横比の固定機能が用意されていますが、画面両端の黒いエリアではクリックが効きません。
シナリオは問題だらけです。半年で製作、しかもほぼ全ての立ちCG付き女性キャラにシナリオがある、という条件が大事なものを歪めているように感じられます。
聞き込みをしていくというシステムに加えて、1エピソードが2~3に分かれているためぶつ切り感がとても強いです。しかも、体裁としては噂話を集めているだけなのでサブキャラはもちろん、ヒロインにさえエンディングがありません。愛着ゼロの転校生にエンディングがあっても誰の心にも響かないでしょう。
ストーリーの短さが影響しているのか、サブキャラには恋仲に至る過程が全くありません。いきなり、呼び捨てにされたり、愚痴られたりするのでプレイヤーはひたすら戸惑います。どうやって恋人になるかは非常に重要だと思うのですが、ライターやブランドの考えは違うのでしょうか。
Hシーンは各ヒロイン2~3回ずつ。カウントの仕方によっては1回としか言えないキャラも。上記の点を気にしなければそれほど悪いものではありません。人数の割にはパターンも考えられています。ただし、ショートストーリー集ですから尺は短めです。それと、過程を省くという大胆なことをしているのに複数人プレイはなぜか妄想だったりします。どういう意図なのでしょうか。
作品全体のボリュームはかなり乏しいです。プレイ時間にして5~6時間程度。コストパフォーマンスはお世辞にも良いとは言えません。
誤字脱字は劇的に改善されました。
CGは省エネ仕様。7800円でありながらイベントCGは差分を除いて62枚しかありません。1人頭2~4枚。もちろん、立ちCGの新規などあるはずもなく。ファンディスクという言葉の意味を考えたくなる数字です。
枚数の貧しさを除けばイベントCGは本編に勝るとも劣らぬエロ度で十分に役割を果たしています。もちろん、シナリオの項で触れたようにエンディングカットはありませんが。
音楽は本編と同じ。間違いなく全曲は使っていないと思いますが、再び聞いてみてもやはり100曲以上もあるようには感じられません。全体的に主張が弱く、おとなしめです。
ボイスは予算の関係(推測)でパートボイス。聞き込み画面では一切のボイスがありません。これもまた、クラスメイトの無個性化に拍車をかけています。用意されているキャラは当然、本編と同じ声優です。演技が異なる、ということもありませんでした。
まとめ。浅くて広いにも程がある作品。事情はあるでしょうが、それにしてもフォローが厳しい出来です。ファンディスクはメーカーへの御布施である、という一語がしっくり来てしまうでしょう。
お気に入り:本作に限ればなし
評点:50
作品の性質上、キャラ別感想はありません。