univ~愛・おまたせっ~(カクテルソフト)
一部の人にとって待望の後編。恋編の売り上げがアレだったせいか、入荷数を絞る店舗が多く、予想外の売り切れが各所で起こったようです。個人的にも、ちと入手に苦労しました。やはり発売日買いが基本であると痛感。
購入動機は言うまでもなく、恋編が個人的にスマッシュヒットだったから。あまり賛同者を得られなかったのは悲しいことでしたが。
恋編を受けての愛編ということでストーリーや基本的なシステムは省略します(詳しくは恋編のゲーム感想を参照)。同じことを繰り返し書いても意味ないですし、変更点に主眼を置いて書いていきます。
まずはシステムから。大きな違いはないものの、細かいところでマイナーチェンジが施されています。
ヒロインをデートへ誘うための「話題」は使用可能回数が3回から2回へ変更。賞味期限も軒並み30以下になりました。よって入手してから目当てのヒロインと一度も出会うことなく「話題」が風化ということも珍しくありません。
恋編ではデートの行き先こそ違えどもセリフは使い回し、なんてのが少なくありませんでしたが、愛編ではどうやら全て専用の会話が用意されているようです(だから情報誌を買って映画に誘うことはなくなりました)。その代わり、「話題」の総数は少なくなり、行き先のバリエーションも減ったように感じました。水族館等の微妙に目先の変わったデートもほとんどなくなりましたし。
また「話題」の重要性も下がったようです。恋編には存在した、イベントCGが見れる特殊な「話題」というものがほとんどありません。結果として難易度は下がりましたが、イベントCGを見られるのがほとんど自動発生のイベントであるため、考えながら誘う楽しみは激減しました。
その代わりという訳でもないのでしょうが、愛編ではデート後にHに誘えるようになりました。恋編でもエンディング後に少し遊ぶことが出来たものに近いです。
キスや胸を揉むなどの基本コマンド以外はデートの行く先同様に、「話題」として入手します(当然のことながら、こちらは賞味期限はありません。ただし、使用アイテムは除く)。ヒロインは同じコマンドでも使用時の状態によって違った反応を示してくれるので全ての反応を見るのはかなり大変かと。
また、主人公が下手な序盤や適当にコマンドを選んでいるとヒロインが達することができずに泣いてしまう(あるいは恨み言を言われる)、といった妙にリアルな要素もあります。何事も自分勝手は駄目、という教訓をエロゲーから教えられます。
恋編とは違ってプレゼントなどを渡した時に好感度の上下が目に見えてわかるようになりました。これで彼女のセリフの微妙なニュアンスに神経質になることもなくなりました。嬉しいようなさみしいような複雑な心境になる変更です。
これはデート後のHシーンでも同じことが言えますが(好感度ではなく、開発度のようなもの)、どちらも最大になってしまうと見た目での反応がなくなります。フルゲージ前に慣らされてしまっているので、反応がなくなるとちょっと寂しく感じました。
スライダーは今回も健在です。ただ試験日程や正確な休みがわからなくなったので、時期に合わせて勉強に集中、アルバイトに精を出す、といったことができなくなりました(単位の取得確認画面もなくなりました)。
プレイ期間を通してスライダーをいじる機会が明らかに減ってます。個人的には考えて変更すると色々と結果が返ってくる恋編の方が良かったように感じました。
恋編からのデータの引き継ぎはセーブデータをもって行います。クリアフラグではありません。自動セーブを除いた手動セーブが7つしかないのに、ヒロイン6人のデータが個別に必要というのはあんまりだと思います。もうちょっとユーザーのことを考えて欲しいものです。
愛編からのユーザーのためにか、一葉とティナを除いたヒロインに恋人になるイベント(有り体に言えば処女喪失)が用意されています。つまりスタート時はお友達から始めて、ってことな訳ですが、これは本当に必要なんでしょうか。CG的にも恋編からの使い回しですし、2回目からは恋人として始められる訳ですし(条件付きですが)。
ちなみにお友達スタートを逆手にとることで浮気も可能です。とはいえ、浮気による(というか二股などのかけもちによる)特別なイベントは一切ないので特にするメリットはないのですが(重要イベントは開発度の高さや一番高い好感度を要求されるものもあるので)。スライダーも人数ぶん割かなければなりませんし。結局のところ、愛編から恋人になるイベントは浮気を可能にするために作られたのではないかと。
足回りは意外なことに色々と変わってます。メッセージスキップはアイコンをクリックした次から反応するという仕様なので、デート後のHシーン以外では都合2回クリックする必要があります。デートに誘うことが可能な会話では自動的にストップします。便利ではありますが、コンフィグで調整可能だとなお良かったのではないかと思います。
メッセージの巻き戻しではボイスの再生も可能になりました。このへんは嬉しい変更です。
手動セーブを行う際に必ずリターンキーを押さなくてはならないのは相変わらず。これに関して苦情は来なかったんでしょうか。はっきりと不便だと思うんですが。
ボイス、効果音、BGMとそれぞれに音量調整が可能になりました。これだけなら改善点なんですが、恋編に比べて録音ボリュームがキャラごとにバラバラなのでほとんど意味がありません。例えば倫子の声は大きいが微は小さい、効果音とBGMともに小さいが場面転換の曲だけ大きいなど。
「ゲームを終了する」がタイトルからしか行えなくなりました。加えて「タイトルに戻る」がデートのない日曜日からしか実行できないのでなかなか中断できずかなり不便。そのため、場合によってはわざわざ別データにロードしてそこからタイトルに戻るという異常操作を要求されます。
CG鑑賞モードも変更。部分変化が収録されなくなり、サムネイル画面も一度に5枚までしか表示されません。さらに回想モードがあるのにCGを選択するとなぜかイベントの出だしだけ喋ったりと不思議なことばかり。恋編も使い勝手が良いとは言いかねましたが、愛編はそれ以上。どうにも設計者の意図が図りかねました。
総合してシステムはどうも退化が目立つような気がします。どうしてなのでしょうか。
シナリオは相変わらず大学生の日常がうまく表現されています。ただ、ライター陣が総入れ換えになった影響がそこかしこに出ています。その最たるは主人公の性格の変化。浮気が可能になったのは主人公の性格によるところも大きいのではないか、というくらいの色欲魔神と化してます。色事以外でもかなり軽めの男に。違和感を感じずにはいられないでしょう。
恋編にはほとんどなかった個別シナリオ(というかイベント)も後半になると少し出てきます。その濃度はキャラよって様々。レベルも様々。うまく料理しているシナリオもあれば、明らかに浮いているシナリオもあり、統一感はありません。
一番の見所であろう、Hイベントは数もそれなりに多く、シチュエーションも凝ったものが多いかと。特に三好育、氷室微の両名は数も多く、そのキャラらしいものが用意されていて印象深いです。
CGは製作期間の影響か、原画が少し変わってきて来ていますが、全体的には深みが出てきて良くなったように思います。前作が好きな人ならさらに好きになれる変化ではないでしょうか。ただ、ティナ・ハミルトンだけは例外。どうにも原画が安定していません。正直、同一人物に見えないカットがチラホラと見受けられました。
また、全体的に恋編のCGを使い回すケースが多く見られます。前編、後編とはいえ、どちらも8800円している訳ですからきっちりと仕事をして欲しかったです。これでは手抜きと言われても反論できません。
立ちCGは恋編から基本的に変化なし。佐伯玲奈のみ2種類追加されましたが、これがどうにも残念な出来。他にはデート後のHシーン用の立ちCGが追加されました。こちらは出来にばらつきあり。良いものもあれば悪いものもある、とそんな感じ。
恋編にもあった背景に重なる形でのHシーン用CGも用意されています。使われ方はHシーン用立ちCGと同じ。
オープニングデモはどういう訳かメーカーホームページで公開されたものとは異なっています(曲も)。代わりのものはあまりにも無難すぎ。どうして差し替えたのか激しく疑問に思います。
音楽は恋編のものに新曲を織りまぜて構成されています。特にHシーン用の曲に力が入っているように感じました。
ボイスは今回も主人公以外はフルボイス。主人公も特定箇所においては用意されています。なにゆえかはわかりかねますが。
問題となるのは島津、亀田の声優さんが恋編と違うこと。男性キャラとはいえ、レギュラーの声が違うダメージはあまりにも大きいです。二人の演技が似てしまっているのもマイナス印象を強めています。
まとめ。ファンディスク並に好きな方限定。良いところのほとんどは恋編から引き継いでいるところばかりというのはどうかと思います。それでも恋編が気に入った方にはHシーンの追加もありますし、宜しいのではないかと。
お気に入り:氷室微、三好育、島津一葉
評点:65
以下はキャラ別感想。ネタバレ要注意。
1、斉藤倫子
特に期待していた訳でもありませんが、恋編から株は上がりませんでした。むしろ下がったような。今回は危ないものにうっとりすることもありませんでしたし。
イベントHもどうもイマイチなものが多かったように思います。なにより恋編と同じ欠点を抱えているのが大きいです。兄関連の話に無駄に分量を割かれているような。案の定、黒井教授関連の話は素晴らしくつまらないものでした。
2、ティナ・ハミルトン
やはり不安定な原画がちと厳しいです。特にバンダナ(?)を外すと真剣に誰だかわかりませんよ。
あとは開始早々に訳のわからぬ理由で別れを告げられるのもどうも釈然としません。別れはともかくとして、冷たく当たられる理由はどこにもないような気がするのですが。しかもステディでないときまでそうした態度をとられますからねぇ。好印象を持てと言われても厳しいです。
3、佐伯玲奈
実は未だ恋編をクリアしていないのでとっても後ろめたいデス。いや、好きなキャラではあるんですが。
追加された立ちCGの破壊力はあまりにも凄まじいです。ほとんどなにかの間違いとしか。
恋編の時とは違って、誘いを一旦、断ってみせてから全力で承諾させるということがなくなってしまったのが残念。いかにも玲奈らしくて好きだったんですが。
大学生よりも社会人になってからの方が暇そうに見えるというのはどうかと思います。ましてやあんなイベントに繋げるために研究室に入り浸るなんてねぇ。
倫子を「ちゃん付け」で呼ぶ姿はかなり気味が悪いですよ。猫を500匹くらい被っている感じで。そもそも微の親友だということを理解しているのでしょうか。
4、島津一葉
定番のラインなんですが、その徹底ぶりが良かったです。おかげで地味ながら記憶に残るセリフが多いですし。
「いいえ、こちらがいいんです」
このセリフには(直接、言った訳ではありませんが)ちょっとクるものがありました。自転車イベントはかなりのお気に入り。いかにも一葉らしくて。
後半、恋編を取り戻すようにHになっていく彼女は良かったです。苦節3年の苦労が実ったと言いいますか。中でも茶碗を口実にするイベントはなかなかに笑わせてもらいました。
5、三好育
最終的に20歳にまでなる訳ですが、見た目の成長がないのはやはり残念に思います。ちょっと楽しみにしていただけにね。
将来的には佐伯育になる訳ですか。それほど違和感もないですかね。それよりアパート名をどうするかの方が問題か。
6、氷室微
相変わらず自覚のない美人してます。
日常会話(デート)は良かったんですけど、個別シナリオがなぁ。一度たりとも倫子の好感度が上がるような真似はしなかったっていうのに二股扱いされては悲しいですよ。せめて倫子がもう少し魅力的であったならば納得しないでもないんですけど。だいたい付き合いを隠してる訳ですから浮気をしていない限り説得力がなさ過ぎかと。まして微の方が浮気に走るだなんてねぇ。
バスガイドさんHはあまりにもナイス。似合い過ぎですって。