ときどきシュガー(XUSE)

 茶道家元の息子である武野慎治(変更不可)は別荘へとやってきていた。管理人代行として。選ばれた理由は慎治が浪人生であり家業を継ぐ意思を見せていない、というあたりに集約されていた。程なく雪に支配される街で慎治は何を見つけるのだろうか。

 XUSE純米ブランド第2弾。「Floralia」と同じチームが製作ということで購入を決意。どうやらブランドの方向性が見えてきたようです。

 メッセージの巻き戻し画面においてちょっとしたバグが出ています。運が悪いと強制終了することもあるのでプレイ前に落としておきましょう。

 システムはお馴染みのアドベンチャースタイル。前作とは違ってスタート時に想い人を選ぶようなことはありません。難易度はやや高めでしょうか。キーとなる選択肢が意外とわかりにくいです。
 足回りは平均点以上を実現。ちょっとばかり設計者のクセが出ているというところでしょうか。初めはNo waitが存在しないのかと思って驚きました。
 メッセージスキップはそれなりに高速。ただし、コンフィグをいじらないとエフェクト関係のスピードが変わりませんし、選択肢間が長い傾向にあるので相対的に遅く感じられることもあります。贅沢を言えば次の選択肢まで飛ぶ機能が欲しかったです。
 メッセージの巻き戻しは別画面で行います。ボイスの再生も可能。ただ、戻れる量はそれほど多くありません。1~2シーンというところでしょうか。
 CGモードは前作に引き続いての不思議な仕様。サムネイル画面でCGの部分違いの何枚目かを選べる意味は奈辺にあるのでしょうか。

 シナリオは前作に比べれば良くなってます。ただ、今回も互いが惹かれ合う過程が見事に省略気味。初めから好きか一目惚れで課題をクリアーという感じで個人的には不満が残ります。
 日常会話はキャラによりけり。掛け合いの楽しいテンポの良いキャラもいれば、どこまでもマイウェイなキャラも。複数のヒロインによる会話は共通ルートが多く、分量は少なく笑いを誘われることは少ないかと。
 5人のヒロインのうち、2人がエロ担当という感じでまともなシナリオが用意されていないのは前作の誘惑組を彷彿とさせて微妙なところ。その割には残る3人でもエロを補うような展開が少し用意されてますし。
 前作は「園芸部」という一風変わった要素を盛り込み、それがテキスト面においても他作品と差別化が出来るほどうまく機能していました。それこそ作品のカラーと呼べるくらいに。しかし、今作における「茶道」は題材に選んだ意味が薄く、残念なことにあまり効果を発揮していません。
 欠点ばかり書いたので良いところも。前作風に言うところの純愛組の複数回Hが充実しています。ただ、そうなるとシナリオ薄味のエロ担当の意味がよく分からなくなるのですが。純愛シナリオで無理に凌辱風味を出さなくともいいような。

 CGはバランスが微妙。イベントCGは文句のつけようのない美しい出来なのですが、立ちCGが明らかにそれに劣ってます。色数からして少なく見える上に枠線の処理が甘いです。
 さらに前作にあったフェイスウインドウがなくなったことでキャラクター表現が大幅にパワーダウン。あのSDカットに大きな魅力を感じていただけにこの変更にはショックが隠せませんでした。
 フェイスウインドウに代わるものとしてなのかどうかはわかりかねますが、吹き出しによる感情表現が加わってます。なにか思いついた時に電球が光る、大きな汗、照れた顔など。一定の効果はあげていると思いますが、基本的に各キャラ使い回しなので個性としての印象は薄いかと。

 音楽は前作に比べて大きな進歩を遂げています。田舎らしい曲、しっとりした曲、ギャグ調の曲と場面に合ったものがしっかりと用意されてます。これならばサウンドトラックを特典として用意するのもうなずけます。
 ボイスは有名どころを使用しているので極めて安定。中でも北都南さんの演技はキャラの個性とも相まって光るものを感じました。

 まとめ。良くも悪くも典型的な2作目。ユーザーの声に耳を傾けてくれているのか、改善された箇所が多く見られます。しかし、その際の弊害、XUSE純米だけの尖った魅力が薄れてしまったようにも。3作目の動向が気になります。純愛を謳うゲームなのだから凌辱方向の展開はいらないんじゃないかと。
 お気に入り:桐嶋絵麻
 評点:60

 以下はキャラ別感想。ネタバレ激注意。







1、堤亜緒
 なんつーてもメインヒロインが自分自身というのはあんまりなオチですよ。それだけで全てが台無しなような。山の霊気だかなんだか知りませんが、このむなしさは只事ではなく。
 この事実を知るまでは結構、好きなキャラだったんですけどねぇ。両親のキャラもなかなか好きだったんですが、それも無意味なことですよ。絵麻シナリオでのお役立ち様子も実は連携プレイによる攻略であったという悲しさ。そりゃ、気も利く訳ですよ。

2、榊原くくり
 正直、未だにこの声に慣れていません。どうも相性が悪いというか、苦手な声なんですよねぇ。妙に鼻にかかったような感じが。
 気になって仕方がないのがでっかい髪飾り。一体、どんな材質で出来ているのか知りませんが龍炎舞が出来そうな気がするのは私だけですか。

3、桐嶋絵麻
 いいキャラです。大げさな反応が見ているだけでも楽しいです。うろたえると早口になって暴走するのがなんとも。そこにカラスや照れた顔の吹き出しが加わると破壊力も倍増。完全に他のヒロインを置き去りにしていますな。個性という意味では今作で一番。

4、武野千尋
 外見同様に中身も幼い。普通に考えれば真っ当な訳ですが、恋の相手としてはうざさがすごいことに。中途半端なリアリティほど困ることはありません。

5、古河芳生
 凌辱展開用キャラ。弱みを簡単に握れてしまうというは面白味に欠ける最たる理由ではないかと考えてみたり。どこから見ても彼女に入れ込む理由は見当たらないなぁ。