すくーるヘブン~らぶえろハーレム☆ももいろタイフーン~(BISHOP)
小津伸二(変更不可)は通っている学園の理事長の孫である。単身で寮に住んでいるが一向に彼女ができる気配さえない。祖父である理事長にとって跡継ぎといえるのは困ったことに冴えない伸二しかいないのだ。業を煮やした理事長は寮に女性ばかりを集めることにした。孫が駄目なら曾孫に期待しよう作戦である。伸二が突きつけられた条件は1ヶ月以内に結納可能な彼女を連れてくること。果たして身内にお膳立てまでしてもらった伸二の戦果は。
BISHOP初の非凌辱ものということで、すわブランド方針転換か!? とファンの間で騒ぎがあったとかなかったとか。程なく次作以降はまたいつものお家芸タイトルと発表され一安心。どうやら本作はユーザーの声に応える形の実験作のようで。
新しい試みは応援したいということで購入を決意。エロ度がどうなるかというあたりにも興味がありました。
初回特典はらぶえろスペシャルCD。内容はボーカル曲のロングバージョンや販促イラスト集にシステムボイス。原画家ファンにイラスト集は嬉しいところです。CGですしね。
修正ファイルの類は出ていませんが私の環境ではムービーの再生の失敗してフリーズすることが度々ありました。スキップが作動していると失敗することがないという変わった現象です。
基礎的なシステムは毎度お馴染みのアドベンチャー。それに我流のシステムを加えているのがいつものBISHOPスタイル。本作の新しいシステムの名はえろチェインシステム。ヒロインと仲良くなることでリングが点灯、それを重ねて鎖とすることでハーレムプレイ(3P、4P、9P)が発生するというもの。これは別画面でいつでも状態を確認できます。
ゲームの進行はマップ移動方式。1日4回の移動で期間はおよそ5週間。週末は学園に行かないので別に固定のイベントが起こります。マップ移動には当たりと外れがあって当たった時しかヒロインとのイベントは進みません。ハーレムルートに進むにはほとんど外れを引くことなく選択し続ける必要があります。このような構成なので個別ルートを目指してオンリープレイをしていると、4回選択のうち3回が外れになる傾向の強い非常に散文的というか作業感の漂うプレイになりがちです。可能なら攻略情報を用意して遊ぶことを薦めます。
足回りは及第点クラス。メッセージスキップは既読未読を判別してくれますがスピードは早くも遅くもない中速。
バックログは別画面で行います。ホイールマウスに対応、ボイスのリピート再生も可能です。ロード直後にも使用できるのはなかなか便利です。
BISHOPでありながらDVDレス起動が可能になったというのは驚きであり、称賛に値します。もう面倒なシリアルコードの入力をする必要はありませんし、起動の度にディスクチェックに待たされることもありません。これは素直にハラショーと(初回のみ必要です)。
シナリオは状況を用意するための必要最低限クラス、あるいはそれ以下。ことに個別ルートは全くやる気が感じられず、切り揃えたように全シナリオが突入後1時間程度で終了します。
前述したようにイベント配置は飛び飛びでハーレムルートを基準に構成されているので日常会話にも期待しようがありません。萌えゲーの方がよほどまともな日常を備えているでしょう。
そんな有り様ですから互いに惹かれ合う過程も存在するはずありません。大概は理由は不明ながら初めから主人公に好意を抱いています。100人に振られた男という設定のはずなんですけどね。
また複数ライター制の弊害がありありと出ていて主人公のキャラが見事なまでに安定していません。ルールを守ることに固執するマジメ人間かと思えば次のシーンでは躊躇いなく覗きに走るモラルなし人間に豹変したりとほとんど別人格。
ヒロインも定規で引いたように定型の枠を出ないデザインなのでエロ以外の部分で魅力が全く感じられないのは閉口もの。記憶に残るのはちょっと難しそうです。
Hシーンは個別で3~4回。ハーレム系は3Pが4回、4Pが3回、9Pが1回というところ。エロ度はかなりのものですが、従来作の凌辱系と比較してしまうと物足りなく感じてしまうかも。テキスト的には1回目と2回目以降で差をつけようとしている様子が窺えます。1回目はおとなしめで2回目以降は淫語を惜しまずといった感じで。
複数人プレイは条件が成立すると個別のHシーンの直後に発生するのでシチュエーションとしては微妙な面も。主人公がすでにこなした後なので疲れて持たずに終了という流れがほとんどなので。シナリオ上は事故のようなもので後ろに繋がりはありません。
方向性が変わってもCGはエロ特化。水島多也氏のエロくて可愛い絵には進歩が感じられます。本作ならではのヒロインたちの表情は実に貴重で、普通に驚いた顔やあきれ顔などがとても新鮮です。数は少ないながらヒロインたちのノーマルな集合CGにもこれまでにはない魅力が出ているかと。
恐らく本作の仕事によって原画家のスキルが向上したのではないでしょうか。以前に苦言を呈した、目を閉じた各種の表情にも少しずつですが差が感じられるようになってきたように思います。
イベントCGは差分抜きで123枚と並々ならぬ気合を感じます。
Hシーンは半脱ぎ主体となっていますが当然のようにハーレム系はほぼ例外扱い。コスチュームは一部で可愛らしいものを用意していながら活用していない例があり痛恨。まさに片手落ちです。ハーレム描写は本作に限らずどこのブランドでも代わり映えなくマンネリな印象があります。現状がよほど好評でない限り、そろそろ新しいアイデアが必要な気も。個人的には個別イベントを強化してもらった方が嬉しく感じます。
立ちCG鑑賞モードが標準装備されているのは嬉しい進歩。表情や衣装を自由に組み合わせて見ることができます。反対に悲しい退化がイベントCG鑑賞モード。こちらはなぜか立ちCG鑑賞とは違って自由に見られません。1枠に差分が80枚もあっても順番に見ていくしかないという使い勝手の悪さ。どうして立ちCG鑑賞と同じ仕様にしなかったのでしょうか。「学園2」ではこれを採用していたのに。
音楽は予想通りといっては失礼かもしれませんが見事なまでに記憶に残りません。レベル的にも最近の業界は進歩が著しいだけに苦しさは否めません。まぁ、メーカーの方も重要視していないのかも知れませんが。
ボイスは女性キャラのみフルボイス。演技の方は特に問題なし。春見櫻役の咲ゆたかさんは地に足のついた演技で安心して聞くことができました。
まとめ。良くも悪くもエロだけが売りの作品。正直、物足りない部分が多いのですがエロいからまぁいいか、とか思ってしまいます。ただ、至らない要素のレベルアップも忘れて欲しくないです。
BISHOPというブランドにとって本作は今後へ向けての良い肥やしになったのではないでしょうか。たまにはこうした試みをした方が本来のラインに戻った時に引き出しも増えていいのではないかと。
お気に入り:春見櫻、神崎真璃亜(エンディングバージョン限定)
評点:65
特に思い入れもないのでキャラ別感想はありません。