黎明のラヴェンデュラ(NOA)
かつてAMP乗りのエースとして名を馳せたケイン・ビュコック(変更不可)。しかし、ある事件がもとで今では窓際に左遷される身。今度の飛ばされた先は士官学校の教官。やる気のないケインが請け負うことになったのは女ばかりの訓練生たち。実習航海に出た一行を待ち受けるものとは。
ジャニスのブランドなのか違うのか、よくわからないブランド陣。本作にしても販売と発売はNOAで制作はASTROというところですからねぇ。戯画とそれ以外のようなパートナーブランドというものなんでしょうか。
体験版をプレイしてある程度のリスクを感じながらも購入ラインを下げていたことと、競合ソフトがなかったので買ってみました。
初回特典は主題歌のマキシシングルに設定資料集。
ジャンルはパッケージによるとドラマティックSFアドベンチャー。何やら微妙臭が漂うネーミングですが、システムとしてはいつもの通りのアレです。構える必要はありません。
足回りはやや不親切さが見える設計。メッセージスキップは既読未読を判別して高速ですが、2周目以降は既読部が非常に多く長いので相対的にはあまり早く感じません。暇潰し道具必携。選択肢単位のスキップ機能があると良かったかも。
バックログは別画面で行います。ホイールマウスに対応、ボイスのリピート再生も可能ですが、開始した時には一行しか見えない状態であるため、1クリック前の文章でもさらに戻さなければならないのでなかなかに面倒。いきなり一画面全部表示してはいけなかったんでしょうか。
何周目であろうともスタッフロールを飛ばすことができません。内容が同じものを最低5回見なくてはならないのはさすがにどうかと思います。
シナリオは物語のためだけに設定ありき、という印象。ロボットものということで様々なSF設定が用意されているのですが、それがシナリオ上で有効に活用されているようには見えません。物語の都合で必要な部分にだけ設定を用意したようにも。
シナリオの中身はアニメのテレビシリーズなら1年はかかるであろうものを数時間でまとめているので各所に苦しさが滲み出ています。士官候補生たちの友情、教官との絆、密閉空間での訓練の日々、突然の実戦、真相に迫る伏線、秘められた過去、エトセトラエトセトラ。築き上げるべき土台にあからさまな手抜き(欠陥)があるために説得力は皆無。
世界観の紹介とも言える日常会話はおよそ盛り上がるということがなく、かなりお寒い内容です。物語に重要な食事のシーンの描写が特に酷く、正直なところフォロー不能レベル。ただ読んでいるだけで楽しい会話、とまでは言わないまでも、せめて興味を引かれる内容にはできないものでしょうか。
Hシーンは各キャラ本編2回にシナリオクリア後におまけで1回。トータル3回というとまずまずの数字に見えますが、本編に組み込むことのできないHシーンはどこか悲しいものがありますし、本編の2回も選択肢によってどちらかしか発生しないので感覚的には微妙な感あり。テキストは短さのせいもあって期待するだけ無駄。
CGは思わず頭を抱えたくなる仕上がり。キャラクターデザインのクレジットが「えもりん」であるのに対し、原画のクレジットは「えもりん他」。他ってなんでしょうか、他って。イベントCGはこれが全てと言わんばかりの惨憺たる仕上がり。
統一感はなく、塗りはまるでアニメの動画の一カットようないい加減なものが散見されます。中には輪郭が恐ろしいラインを描いていて、もはや美少女とは呼べないシロモノに昇華したものがあったり。時にはまともなものもあることが悲しさをさらに大きくしたりします。誤ってパッケージのイラストのクオリティを期待すると大火傷するは必至です。
唯一の救いはメカ関連のCG。担当者が違うのか、こちらはデザインさえ気に入れば問題ないレベルに仕上がっています。演出としての使い方はまた別の問題ですが。
音楽は取り扱うネタを考えるとかなり大人しい印象があります。曲調だけでジャンルを想像するのはちと難しいかも。それととある曲が「踊る大捜査線」のメインテーマにやけに似ているように感じるのは気のせいでしょうか。
ボイスは主人公以外フルボイス。演技の方はあまり誉められた出来ではありません。中でもラティアとミランダの両名はかなり苦しいものが。
まとめ。あまりに高すぎる山に挑んでしまった作品。企画意図を全て満たしていても不足があるというのに、完成度まで低いのではフォローするのも難しいです。いいとこ探しをしてもどのように薦めていいやらわかりません。
お気に入り:特にいません
評点:45
言うまでもなくキャラ別感想はありません。