RANCE QUEST~ランス・クエスト~(アリスソフト)

 JAPAN統一からしばし、ランスは奴隷にかけられた呪いを解く方法を探していましたが、付いてきた鈴女ともどもすっかりだらけていました。そんな折りに呪いのエキスパートであるカラーの情報を得ます。なんとか隠れ里に潜り込むも本来の目的を忘れたランスは女王を襲うだけで帰ってきてしまいます。
 怒り心頭の女王に逆襲されたランスは逆に呪いをかけられてしまうことに。その名も禁欲モルルン。レベル35以上の女性としかHできず、そのまま放っておくとホモになってしまうという恐ろしいものでした。

 アリスソフトの新作はランスシリーズの八作目。
 購入動機はやはり前作の「戦国ランス」が良い出来であったから。
 初回特典はぷちねんどろいど・リセット。

 修正ファイルが出ています。バランス取りなども含めてバージョンアップと言える内容なのでぜひともあてておきましょう。難易度も下がります。他にはまともなグラフィックボードを用意した方がいいでしょう。個人的な環境ではすぐに再起動が必要になる事態に陥ってました。

 ジャンルはタイトル通りクエスト形式を採用したRPG。「Ⅵ」のような3Dダンジョンではなくフィールドマップ型。クエスト毎にマップが用意されています。処理的には3Dですが感覚的には見下ろし視点の2Dっぽいという「闘神都市Ⅲ」同様です。
 戦闘は最大5対5のコマンド形式を採用。敵側のみ3Dとなっています。サイズは小さくなっていますが「闘神都市Ⅲ」に比べてこなれてきた印象で女の子モンスターは随分と可愛くなりました。
 戦闘コマンドはスキル獲得とその選択制。アリスソフトなだけに永遠に戦い続けることはできません。各コマンドには使用制限回数があります。それが尽きるとHPが残っていても何もできません。レベルアップに応じて新しいスキルやその回数を増やしていきます。コマンド欄にも限りがあるので(戦闘時以外は変更できますが)選択が重要です。5人のパーティーメンバーも回数の制限付きで入れ替えが基本となります。
 女の子モンスターの捕獲という要素が復活しました。そのためのスキルさえあれば一緒に戦ってもくれて成長もします。また、これが唯一、スキル回数がゼロになっても攻撃可能な方法です。女の子モンスターが戦闘不能になることはありません。
 アリスソフト恒例のレベル神はいますがシステム的にはいなくなりました。あまりにも頻繁にレベルアップするのと対象が多すぎるからではないかと思います。名残としてかレベルアップ時にわずかに顔を出すのみです。
 クエストは条件によって増えていき何度でも挑戦可能です。ゲームクリアに必要なものもあればそうでないものもあります。クエスト中に選択肢がある場合でももう一度やり直すことで違う結果を導くことが可能です。最新の結果が今の状態という感じでこうしたものもクエスト出現の条件になっていたりします。失敗したり、断念したりしても経験値やお金は無駄になりません。脱出装置というものを使えばアイテムも持ち帰れます。
 ランスの世界ですから才能限界というレベル上限のシステムは本作でも採用されています。基本的にはこれを越えてレベルアップはできないようになっていますが、そこで主人公が役立つのもこれまで通り。女性キャラ限定ですが上限レベルまで上げてからランスとHすることで才能限界が3増えて基本パラメータも上がります。ただし、禁欲モルルンの呪い効果でレベル35以上でないとHできない上に、した場合もレベル1に戻ってしまいます。このHはシステム的なものなので一般的な意味でのHシーンではありません。これでしかHシーンがないキャラが多いですが、お世辞にも期待してはいけないでしょう。
 RPGパートはバランスも良く爽快感もあってなかなか楽しいです。序盤は自由度が少なく大変ですが、慣れてくるとキャラの成長に掛け合いも相まって加速度的に面白くなってきます。

 足回りはRPGにしては配慮が行き届いています。メッセージスキップは既読未読を判別して高速です。ただし、パッチをあてた後はそれまでの既読フラグがクリアされてしまうので注意が必要です。
 バックログは別画面にて行います。RPGパートの時にも起動可能ですが、ロード直後は使用できません。AVGパートではホイールマウスに対応しています。

 シナリオはRPGということを踏まえてもボリューム不足です。メインのシナリオだけを追うと驚くほど早く終わってしまいます。イベントの中身を見ても本作は次への種まきや繋ぎといった感が強いようで、オチのないイベントやキャラクターが多いです。なまじテキストが魅力を備えているだけにもったいなく感じます。
 登場するキャラクターに比べて用意されているHシーンは非常に少ないです。これにシステムのHが加わることでより不満を感じやすくなっているのではないでしょうか。用意されているものもテキスト、素材、エロ度といずれも物足りない印象があります。ここでも、繋ぎのような感覚を覚えやすいです。

 CG。長年続いているシリーズなので仕方ないのですが、また微妙にデザインが変わったように見受けられます。その結果、良くなったキャラもいればそうではないキャラもいるように見えました。新登場キャラは前作「戦国ランス」ほどではないものの、魅力的なデザインがされています。ただ、繰り返すようですが活かしきれていないように見えるのが残念です。
 立ちCGはポーズ変化がなく棒立ちに見えやすいのが残念。表情は完全にフェイスウインドウ任せです。実際、SDを含めてここのカットは非常に魅力的なものが多く、これこそをCG鑑賞に登録して欲しいと思うほど。つまり、悲しくも登録されません。
 総数としても通常アドベンチャーと同じ程度で大手のフルプライス作品にしては不足気味に感じます。

 音楽はRPGの曲として最も重要な繰り返し聞ける、というポイントをしっかりと押さえています。飽きにくくバラエティ豊かな曲が揃っています。ただ、ダンジョン(フィールド)の種類によって曲が決まるので場所によってはほとんど聞く機会のない曲があってちょっともったいないです。
 ボイスはランスシリーズの伝統なのでありません。まぁ、どのみちあったところでパートボイスは間違いないので一長一短は避けられないでしょう。

 まとめ。ロープライス作品をフルプライス化したような作品。中盤までは突き抜けた楽しさが感じられますが終盤があっさり終わってしまうのでまるでいきなり風船がしぼんでしまったような脱力感があります。クリア後も含めて「ランスⅥ~ゼス崩壊~」や「戦国ランス」とは差を感じやすいです。少しでも早く次回作が発売されることを願います。今回は5年と間が開いたことも印象をマイナスにしています。
 お気に入り:リセット・カラー、上杉謙信、クレイン、アームズ・アーク
 評点:85

 以下はキャラ別感想。ネタバレ要注意。







1、サチコ・センターズ
 シールドのヒロシ君の呪いとか一般人なのに冒険させられてしまって、それでも復学したり、学園が城に移ってしまったりとか面白いネタが色々とあるのに弄られ不足。もったいないのひとことに尽きます。BSがお父さんであるというのはみんなすぐにわかったんではないかなぁ。果たして次回作に出番はあるのかしら。あってもお父さん絡みが理由かもしれませんね。
 サチコに限りませんがガード職はあまり役に立たなかった印象です。文豪を守るようなクエストでも素早さが遅いので結局は運頼みだし、装備アイテムもファイターに比べてよろしくないため使い勝手が悪かったです。

2、鈴女
 死んでしまうイベントに愕然としました。これがかなみのためであるとしたら切なすぎます。謙信と並んで登場が遅いながら抜群に存在感のあるキャラだけにショックは大きいです。まぁ、幽霊の魂状態は可愛いですけどね。でもなぁ。っていうか、香ちゃんとかはどんな反応をしたんだろう。
 レンジャーは盗み聞きスキルのこともあってクレインばっかり重用してました。基本的に戦力として期待していないため、能力的にへぼくても問題ありません。暗殺が決まると嬉しいですけどね。

3、セスナ・ベンビール
 「Ⅵ」ではボス戦まで付き添ったセスナさんも今回は才能限界の低さとアイテムの出の遅さによってほとんど使いませんでした。

4、ロッキー・バンク
 もしかしてレベル50まで突き落とせるのでしょうか。

5、アルカネーゼ・ライズ
 照れた顔が可愛くてなかなか良さそうなキャラだな、と思ったのですが登場時以外にほとんど出番なし。エピローグからしても今後の出番が危なそうです。個人的にはランスを巡ってロッキーと衝突するようなイベントが見たかったです。
 狂戦士スキルが消せないのは嫌がらせ以外の何物でもないでしょう。

6、クルックー・モフス
 キャラが展開しないので意味がない。ついでにHシーンもそう言って問題ないでしょう。というか、今回はそういう相手が多いですよね。先生もあんまり魅力を感じませんでした。

7、セル・カーチゴルフ
 このセルさんに限りませんが目録キャラは会話も碌にないので意味がありません。カオスが出てきても無言を貫くもんなぁ。プレーヤーの妄想による補完が大事です。

8、イージス・カラー
 良キャラながらもったいないヒト代表。アルカネーゼ以上に何かあると思わせてほとんど発展なし。騙していることも騙されていることもほとんど意味がない。Hシーンも悲しい内容。こちらも果たして次に繋がるのかしら。
 スキルの数は多いですが、その数ほどには役立った気はしません。ウィチタなんかもそうですが本作は魔法戦士の魔法がほとんど意味がないですな。パラメータを自由に割り振れるわけでもないし。

9、コパンドン・ドット
 今回は「Ⅵ」の時とは違って、ランスの守備範囲外にはみ出してしまうと悩む姿が魅力的でした。フェイスウインドウの表情もなかなか可愛いものがありました。リアやマジックと一切、反目しないのは不思議なところ。互いに相手にしていないのかしら。
 従魔の知識を得てそこそこ使えるように。まぁ、キャプテン・バニラのおかげですけど。

10、アテン・ヌー
 引きこもり魔法使い。意外と好きですが何もないのはもう以下同文な感じ。全スキルを使い切ってパーティーから外したのは数えるほどしかありません。

11、トマト・ピューレ
 捕獲の知識はあるのに女の子モンスターを使役することはできないファイターの悲しさ。彼女がスキルを使い切ってから目当ての女の子モンスターが現れるとかよくありました。

12、魔想志津香
 目録キャラほどではありませんが、あまり意味はありません。人気が高いから入れました仕方なく、という感じ。

13、上杉謙信
 従来キャラですがやはり破格の扱いです。人気を考えれば当然かもしれませんけど、本作からの新規キャラではほとんど太刀打ちできません。どうにか対抗できるとしたらリセットくらいでしょうか。「戦国」はキャラデザが秀逸すぎました。
 謙信の健気さにヒロインの存在感を感じました。本作では十分にその役目を果たしています。その特別さはランスも認めざるを得ないほどですからね。明らかに態度が違うし。
 ユニットとしても役に立ちまくり。加入から最後まで第一線を譲ることはありませんでした。まぁ、軍神ですから当然かもですが。

14、キバ子
 わりと好きなキャラであったんですけど、やはり事実上、喋れないというのはツライ。ユニットとしては役に立ってくれましたが……。

15、上杉勝子&虎子
 まさかの登場。そして、まさかの可愛らしさ。SDカットの魅力は本作随一と言っても過言ではありません。ユニットとしても予想以上に役に立ち謙信とセットがとてもお得です。何気に才能限界が低いせいでうちのパーティーでモルルン被害が最多でありました。

16、ノワール
 目録キャラかと勘違いしそうなほどに自己主張が乏しくてびっくり。そもそもどうして、伊達政宗のそばを離れてまで大陸にいるのですか?

17、チルディ・シャープ
 ええっ、もしかして彼女がいるとレイラさんは登場しないんですか? それはちょっとなぁ。

18、クレイン
 なんとなく次回作以降を踏まえて登場してきたような気がするキャラ。Hシーンは一番というか、これだけがエロかったように思います。

19、アタゴ・マカット
 舞姫のスキルって意味があるのですか。彼女を使ってまで1回回復させてもなぁ。好きなスキルを選べるならともかく。

20、ジーマ
 個人的には新キャラで最も存在感の乏しい方。攻撃特化型のスキルがあんまり嬉しくない。命中率までなんで下がるのよ、と。

21、あてな2号
 久しぶりの出番にちょっと感動。相変わらずアホですが、ラストダンジョンでは役に立ってくれました。

22、マジック・ザ・ガンジー
 相変わらず諦観の態でいながら無駄にあがこうとする姿が可愛いです。今回はちょっと出番が少なかったような気がします。必ず出てくるキャラの割りにはね。

23、カオル・クインシー神楽
 最終決戦でよもやの大活躍。普段でも他のキャラの背負い投げはそれなりに外れるのになぜかカオルさんのはほとんど外れることを知りません。当然のようにフル・カラーにも100%命中でした。まるで「Ⅵ」序盤の頼もしさ。

24、マリア・カスタード
 チューリップは相変わらずの頼もしさ。しかしながら、本作はあてな2号がいたのでその活躍もどこか霞みがちでした。

25、柚原柚美
 ただでさえ、なぜ出ているのか、くらいのキャラなのにあてな2号のために完全にいらない子に。攻撃力は上なのにダメージは比較にもならない。

26、リズナ・ランフビット
 ここしばらく優遇されていたせいか今回はほとんど出番がありませんでした。こだわりとしては乱舞のスキルが剣なのは納得いきませんけど、パラメータとしては槍でなくて良かったです。だって素早さ下がるしなぁ、槍。

27、アームズ・アーク
 様々なモンスターの知識を学べるんですけど、不思議なほど彼女がパーティーにいる時はその対象モンスターがなかなか出ませんでした。ナイトホラーなんて結局、一度も遭遇できませんでした。

28、見当かなみ
 好きなキャラなんですが、今回は鈴女のこともあってちょっと複雑な心境に。諦めの悪さがちょっと可愛く見えなくなってきました。

29、カロリア・クリケット
 おっぱいが大きくなったらしいですが、Hシーンもなければ、まともなCGさえもないのなら意味はありません。っていうか、あげはや毒やんがカット付きで出てくれないとねー。魅力半減どころではありません。

30、ウルザ・プラナアイス
 今回のウルザさんはCGが可愛くありません。「戦国」に比べてお役立ち度も低めです。

31、リセット・カラー
 遂に登場したランスの娘はすこぶる可愛いですなー。特に「がははー」と父親の真似をするあたりがとても良いです。今後の出番にも期待しております。
 そういや山本五十六にも子供が産まれているんですね。てっきり「戦国」の五十六シナリオはIfなので正史ではいないものかと思ってましたよ。