プリンセス小夜曲(すたじお緑茶)
王太子アル(変更不可)は暗殺された。少なくとも世間では。狙ったのは王位継承権2位の血を分けた兄。アルは死ぬはずだった。だが、偏屈な魔女の気まぐれが彼を救う。損傷の激しい肉体を修復する間、アルの魂はホムンクルス体へと移された。
5年後、魔女の弟子として復活したアルは変わらぬ姿で兄へのふくしゅーを決意する。元婚約者を奪ってちょーきょー三昧、一人前の悪を目指すのだ。
なんとなく聞いたことがあるかな、というくらいが本作を知るまでの私のすたじお緑茶の認知度。だもんでソフトに対する期待度というやつはデビューブランドとそう変わらなかったです。
購入動機は原画に惹かれて、かなぁ。何分しばらく前のことなのでハッキリとした理由は覚えていません。
初回特典はスペシャルCD。どうやらボーカル曲フルバージョンとボイスドラマが入っている模様です。 聞いていないのでわかりませんけど。最近の流行りっぽい予約特典はシナリオ付きミニゲーム「囲って!王子様」。
ふりーちょーきょーモードをバージョンアップするパッチが出ています。個人的に適用していないのでわかりませんが、あてておいた方が無難ではないかと。取りあえずなくともクリアはできますが。
ジャンルは特に珍しいところのないアドベンチャー。ちょーきょーモードなるものがありますが、特にゲーム性のあるものではなく、Hシーンの代名詞と言って差し支えありません。4種のカテゴリーに2~4のメニューがあり、それぞれにレベルが設定されています。選択していけば徐々に増えていくという仕組みです。また、ちょーきょーお任せモードというものもあってこちらは早い話がHシーンスキップ機能。面倒な方のためにか1周目からバリバリ使用できます。なんとなく自らの存在意義を否定する機能のような気も。
足回りは標準程度。メッセージスキップは既読未読を判別して、平均からやや遅いくらい。ゲームボリュームを考えると明らかに遅いです。
バックログは別画面で行います。戻れる量はかなり少なめ。ホイールマウスに対応、ボイスのリピート再生も可能です。ただ、ログ画面で誰の発言かわからないのは意外と不便。
2周目以降は個別ルートから始めることが可能。その場合はHシーンの回数が限られているのでレベルは最初からマックスになっています。
シナリオはほのぼのファンタジーの一言に尽きます。展開がどれだけハードに見えても描写がソフトなので重みや痛みはありません(一部のシナリオだけ決定的に除く)。ファンタジーで顔文字を使っているあたりで想像がつくかと思います。
悪になろうとしてもうまくいかず、結果的に正義の味方になってしまう主人公一味の活動は微笑ましいです。しかし、中盤以降はどうせ頑張っても悪になれないのだからしかたないじゃん、という感じでシナリオに工夫が感じられなくなるのは残念。
共通ルートが信じられないほど長くおよそ25時間。ボイスを丁寧に全て聞くともっとかかります。この期間を目的があるようでないような流れで淡々と進むため途中でだれる可能性も。個別ルートは4時間程度なので1周目とそれ以降のギャップがとても大きいです。もう少しバランスを考えて欲しいところ。
2周目以降に個別シナリオから始める機能を使うと、事実上最初の3日間はHシーンを消化する期間にあたります(日中のシナリオはほぼ既読スキップのため)。これを終えて初めてシナリオがスタートする構成。気付いてしまうとこの仕組みは結構、痛いです。どうしても機械的にこなしているイメージが強くなってしまうので。
本作の恋愛の形はただひとつ。主人公は悲劇の美少年王子。ヒロインは全てショタコン。ということで必殺技の「雨に濡れた小犬のような目で見上げる」が発動すると撃墜率100%という按配。主人公の方は基本的に誰でもいいようです(子供だし)。
Hシーンは上記で触れたシステムによって進行。レベルを上げるために同じ項目を選び続ける必要があるのはかなり面倒。スキップが速くないことも影響してきます。また、レベルが上がってもテキストが代わり映えしないので冗長に感じやすいです。モチベーションも下がりやすく、テンポの悪さにも繋がってしまっているかと。
CGは通常イベント少なくHシーン重視という配分。よって長い共通シナリオにおいてはHシーン以外でほとんどイベントCGを見ることがないという現象が起きます。
立ちCGはポーズ、衣装が少ないので表情でカバー、といった配分に見えました。さらにフェイスウインドウを使って寸劇のようなものを演出しています。具体例を出すならおとなしい「行殺新選組」といったところ。
Hシーンは大きな問題が。お姫様であるからか基本は全裸、半脱ぎがほとんどありません。各メニューも発展性がなく、ヒロインによって差がほとんどないのもツライです。
音楽はシナリオのノリに合わせた曲が揃ってます。よってシリアスな曲はほとんどなく、のんびりしたものを聞く機会が多いです。
ボイスは基本的に名前のあるキャラ限定。例外は主人公。演技は悪くはないが特別良くもないというあたり。ただ、ネミディア役の吉川華生さんの声は賛否ありそう。ちょーちんぶるまーの大臣は絵に描いたような三枚目の三流悪役でそれに徹した声優の演技は見事。本作で最も印象に残りました。
まとめ。焦点が見えない作品。何を見せたいのかよく分かりません。プレイに要する時間は無駄に長く(私の場合は39時間)、Hシーンはレベルが上がってもを差分さえ碌に増えないので水増しに見えてしまう。良いところはあるのにそれを悪いところで駆逐してしまっている印象が強いです。この中身であれば、せめて半分の時間で終わるよう凝縮するべきではないかと。
なんとなく気になっている程度の方は回避をお薦めします。吶喊する場合は根性を入れて望んだ方がよろしいかと。
お気に入り:特にいないなぁ、強いて言えば大臣?
評点:50
という有り様なのでキャラ別感想はありません。