Princess Evangile~W Happiness~(MOONSTONE)

 2011年に発売された「Princess Evangile~プリンセスエヴァンジール~」のファンディスク。
 購入動機は本編がほどほどに面白かったためと同一発売日に競合するものが他になかったから。
 初回特典は特になし。

 コンテンツは本編ヒロインたちのアフターストーリーとサブキャラが昇格してヒロインとなったアナザーストーリーの計9本。前者は前編と後編、後者は4話で構成されています。また、本編の共通シナリオも同時に収録されています。これによってアナザーストーリーならば本作からでも違和感少なく始められるようになっています。どのシナリオからでも自由に始めることが可能です。
 足回りは恐らくほとんど変わっていません。メッセージスキップは既読未読を判別してくれますが、それほど早くありません。ただし、使用機会はとても少ないので(本編とは違って)それほど問題はないでしょう。
 バックログは別画面とウインドウの2種類が用意されています。ホイールマウスに対応(後者が起動)、ボイスのリピート再生も可能ですが、それほど戻ることは出来ません。ロード直後にも使用できません。稀に使用できますが、ほんのわずかなのでほとんど意味がないです(恐らく小ブロック単位でテキストを管理しているため)。
 本作でも残念なことにMOONSTONEのお家芸たる時間差起動ディスク制が採用されています。およそ一週間後という忘れた頃に来るので注意が必要です。押し入れの奥深くに追いやっていると泣きを見ます。

 シナリオは引っ掛かりどころがなく、とてもあっさりしています。ファンディスクだからということもありますが、本編にあった負の要素がなく、とても穏やかで最初から最後まで緩やかなくだり坂のようです。
 ヒロインたちのアフターストーリーは尺の短さもあってか深みがなく、オマケの域を出ません。
 サブキャラ昇格のアナザーストーリーは共通シナリオまでに惹かれあう過程がほぼ終了、告白だけしていないという扱いなので、キャラによって差があるものの総じて苦しいです。サブキャラからヒロインとしての立ち位置にきちんと変化しているのはシナリオ化の意味もあったというものですが、物語としてはどれもインパクトが弱く、おとなしいのが残念。
 いずれのシナリオも締めが弱く、印象に残りにくいのが気になりました。また、余韻を感じる間もなく終わってしまいます。
 Hシーンは全ヒロイン各2回ずつ。どうも構成が似通ったものが多く、ワンパターンに感じる時がありました。エロ度は本編同様にそれほど高くはありません。

 CGはイベントCGが主体で立ちCGや背景などはほとんど新規の素材はありません。イベントCGも差分抜きで63枚と、7800円というファンディスクにしては割高な価格を考えるとちょっと寂しい枚数に感じます。
 Hシーンは頑張りが感じられるのがせめてもの救いでしょうか。
 立ちCG鑑賞が実装されました。使い勝手はもう一つですが、搭載されたことは素直に喜ばしいです。

 音楽は本編の曲に加えて本作で新たに作曲したものを組み合わせて使用されています。主にサブキャラから昇格したメンバーのメインテーマがそれにあたるようです。特に違和感もなく本編の曲と融合しています。
 ボイスはヒロインたちの他、まともに名前のあるキャラのみフルボイス。主人公にはありません。また、モブキャラたちにも一切ありません。演技の方は特に問題なし。

 まとめ。無難すぎるファンディスク。もうちょっと買って良かったと思えるだけのプラスアルファが欲しいところ。コンテンツがシナリオ集のみなので質の方も求めたいです。コストパフォーマンスももうひとつに感じます。
 お気に入り:北御門律子、野木民恵
 評点:60

 以下はキャラ別感想。ネタバレ要注意。







1、瓏仙院理瀬
 メインヒロインとしては寂しい後日談。昇格組のヒロインたちが主人公の退学にケロッとしていたことを考えるとあまりに情けない姿に映ります。もうちょっとポジションに応じた重みが欲しいところ。

2、北御門律子
 理瀬の反動かもしれませんが、ずいぶんとましに見えます。まぁ、性格的なものもあるかもしれませんけど、旅行に行ったり、新たな一名ついていたりと露骨なくらい差があるような。チアリーディング衣装のHシーンがあって個人的にはたいそう嬉しかったです。

3、北御門綾佳
 相変わらず妹でない方、を地で行くお姉さま。考えてみれば女子校ネタでお姉さまの存在感が薄いって異常なことですな。もはや、何のためにというレベル。用意するネタが何でも良さそうというのはこの場合、あまり幸福なことではないような気がします。

4、鷺澤千帆
 律子よりもさらに優遇されている印象。もともと素材的に両親など扱いやすい面を持っている千帆ですが、それにしてもという感じ。エンディングにそれが良く表れています。ただ、陸上ユニフォームを使ったHシーンがないのはちょっと不思議。

5、上宮城瑠璃子
 待望のシナリオながらあまりにも普通な感じで残念。パンターベルの方が目立って見えたのは私だけでしょうか。Hシーンがエロく仕上がっていたのが救いです。執事エンドは本当に「ハヤテのごとく!」を踏襲しすぎだと思いました。まぁ、相手が違うけど。

6、柳瀬このみ
 昇格に伴ってきちんとヒロインらしくなりました。ちょっと1人だけ落ちる感じに見ていたので正直、見直したくらい。律子の話にならずこのみのシナリオになっていて良かったです。

7、野木民恵
 驚きのアピールにすっかりやられました。このみに勝るとも劣らないほど立派なヒロインとして独り立ちしています。ポジション的にも異彩を放っていてインパクトも十分。実は全然、胸が小さくないよ! というあたりもその一因となっています。というか、着やせしすぎ。

8、目加田美月
 学園の太陽たる理瀬との差に悩んでいた美月でしたが、シナリオもそのまま月になってしまった感じ。まぁ、理瀬シナリオとの対比と考えると実にいい勝負ですけど。

9、妙義摩理香
 綾佳と似た匂いを感じます。卒業していないだけましですが、自由度では似たようなもの。立ちCGの出来も今ひとつだっただけに苦しさもひとしおでした。この人のポジションで趣味が1人カラオケってどうリアクションしたらいいやら。