ねこねこファンディスク(ねこねこソフト)
恐らくは超短期間で作られたと思われるねこねこソフト初のファンディスク。エロゲ界の価格破壊的お値段3600円は驚異という他ありません。オリジナルサントラまでついてますしね。値段設定のためか「ねこ缶」はついていません。
ねこねこソフトは「みずいろ」で初めて購入して以降、デフォルト購入の対象になりました。よって今回も迷うことなく購入。
コンテンツは大きく分けて4つ+その他。順に解説していきます。
「オリジナルストーリー」
というよりもサイドストーリーといった方がイメージは伝わりやすいのではないかと。「みずいろ」1本、「銀色」2本、「White」1本の計4本。パッケージ裏の表示は間違ってますので注意。
各シナリオは基本的に本編を補完する内容になってます。「みずいろ」は日和シナリオを、「銀色」は1章と3章を、「White」は本編をプレイしていないので自信はありませんが、シナリオがなかったキャラ、めぐみをそれぞれ補っています。
CGは新規描き下ろしもありますが少なめです。賛否ありそうですが、立ちCGも旧作のものがそのまま使われてます。「銀色」はまだしも「White」は書き直しても良かったのではないでしょうか。さすがに見劣りしますので。
「みずいろ」はシナリオライター片岡とも氏の思い入れが現れているのか、短いながらも気合が入ってます。再び本編日和シナリオをプレイしたくなる内容です。
音楽は一部に新曲も用意されています。それぞれのイメージを崩すことなく作曲されているかと。ボーカル曲もあり。
「おまけH」
「みずいろ」でいうところのアフターえちぃストーリーの新作。ヒロインたちとのコスプレHが楽しめる、これぞファンディスクなコンテンツ。「みずいろ」5本、「銀色」1本の計6本。
「みずいろ」はこの本数から推測すると各ヒロイン1本づつかと思われますがさにあらず。内訳は雪希2本、日和1本、清香1本、進藤さん1本。なんと先輩がいません。人気投票最下位がその理由らしいですが、いやはや厳しい世界です。個人的には雪希はお気に入りですけど、それでももう1本は先輩の枠にして欲しかったです。
シナリオはこのシリーズそのまんまのノリですが、経験(?)を重ねているせいか、雪希と日和のシナリオはより親父くさく(描写が)ねちっこくなってます。
CGはかなりの気合が入ってます。それはもうっ、てくらいに。ねこねこソフトのエロに対する意地が感じられました。特に日和と進藤さんは出色の出来かと。
進藤さんはリボンの色も大きなポイントです。こうでなくては。さらに選択肢によっては気の強い進藤さんが恋人に。小さな夢が叶いましたよ(アホ)。
「ソルジャーブルー」
全5話のオリジナルショートストーリー。舞台は「White」と同じ学校のようですが、特に関連性はないみたいです。
特撮ヒーローモノのパロディという体裁を採ってますが、シナリオの攻めが中途半端であるためかかなり寒いです。
次々と関係ない事柄を書き連ねる意味不明のテキストは人を選ぶというより、賛同者自体が少ないのではないでしょうか。しかも、繰り返しに耐えられるネタとも思えません。
CG枚数はそこそこですが、使い回しも多いのでシナリオに対する印象によって評価も変わりそう。構図としては「Only You~世紀末のジュリエットたち~」や「ぷろすちゅーでんとGood」でさんざん使われたのでネタとしての新鮮味も薄いです。
曲はもちろんオリジナル。ボーカルも用意されていて、馬鹿馬鹿しい歌詞がいい感じです。
ちなみにヒーローモノにつきもののオープニングデモはありません。巨大ロボットも。
「バルドバレねこ」
戯画の「バルドバレット」チームがねこねこソフトに移籍して作ったものがコレ。機体デザインはねこねこソフトのヒロインたちになっています。
ジャンルはトップビューのシューティングアクション。モードは限定された空間で多数と戦うサバイバルモードのみ。
自機は雪希だけで装備は45種類にも及ぶ武器から選択。近距離、遠距離、ショートダッシュ中、ノーマルダッシュ中にそれぞれ使用する武器が3ボタンで計12種類を装備可能。弾数制限はなし。ただし、ヒートゲージというものがあり、これがフルになると一定時間使えなくなる(連続使用の制限)。各種武器は三段階までレベルアップ。性能が良くなっていきます。
練習モードも用意されているので存分に組み合わせを試すことが可能。
で、これが非常に良くできてます。武器のエフェクトも見た目に楽しく、徐々に難しくなっていく難易度設定もGood。ついつい時間を忘れて熱中してしまいます。いやはやパソコンで、しかもエロゲーでこんなアクションが遊べるとは思いませんでした。
「その他」
いわゆるオマケシナリオです。まじかる☆ひよりんネタが2本。ソルジャーブルーと同じノリの探偵モノが2本。クリアすると次のタイトルが出現する仕組み。
まとめ。恐らくは今年最高のコストパフォーマンスを誇る作品。「ソルジャーブルー」の寒さを割り引いても買っておくべき出来であることに変わりはありません。ファンディスクとしてこれ以上を望むのはちと酷ではないかと。ましてよそのメーカーでは。
お気に入り:片瀬雪希
評点:75
以下はタイトル別感想。ネタバレ要注意。
1、「~そんな日のこと~」
相変わらず独特の言い回しが深く印象に残ります。本編の補完というか、ひとつの可能性としてのフォローでしょうか。
「銀色完全版」プレイ時には気づかなかったのですが、あやめの声を当てているのはもしや友永朱音(青山ゆかり)さんなんでしょうか。クレジットには狩那まえさんとありますけど、イントネーションが似ているように感じます。
2、「朝奈」
なんとも厳しい、しかし本編から容易に想像できてしまうその後。銀糸や「あやめ」に関する流れが本編中ではやや不明瞭であっただけに嬉しいサイドストーリーでした。
朝奈はやっぱり夕奈の妹なんだねぇ、と思わせる話運びが良いです。唯一の不満は、少しくらい朝奈にウェイトレスとしての自分を評価して欲しかったかと。行き詰まっているので笑顔に関する部分は無理でしょうけれども、人を使うことによって少しは重要性がわかるんじゃないかと思うんですけどね。
3、「チョコレート」
この出来事が(時間を置いて)日和の無意識を動かす契機になった事件なんでしょうね。知らなくとも困りませんが、読むと安心するサイドストーリーの基本のようなシナリオ。
何気に隣町の高校の制服がなかなか可愛いです。実際にあったら色彩的にやや目にキツイでしょうけど。
4、「ソルジャーブルー」
上でも書きましたが、もう少しどうにかならなかったのかなぁ。何もかもが中途半端でリアクションに困るんですよね。あの絵であのシナリオならツッコミがあった方が効果的だと思うんですけどねぇ。ツッコミ不可であるならもっとシリアスでないと笑えないデスヨ。
5、「まじかる☆ひよりん」
「おまけH」の方で、どうも魔法少女についての話が薄いと思ったらこのシナリオがあったからなんですな。
ネタとしては悪くないですけど、スティックのことだとか、もっと突っ込んだ濃い内容でも良かったのではないかと。「奥さまは巫女?」くらいには。
6、「探偵 片瀬健三郎」
どうもこのシナリオの存在意義がよくわかりません。ヒーローモノが探偵モノに変わっただけでそれ以外は「ソルジャーブルー」とほとんど同じだと思うんですが。それほどこの不条理テキストのスタイルが気に入ったのでしょうか。