なないろリンカネーション(シルキーズプラス)
祖父を失った大学生の加賀美真(変更不可)はその家を相続することに。引っ越してきた真を待ち受けていたのは座敷わらしに鬼たち。そして、それこそが真が家を相続した理由であった。見える者しか見えない彼らは祖父と真だけがその存在を感じることができるからだ。
真が受け継いだのは家だけではなく大事な役目もあった。警察と協力し霊障を無事に解決すること。
こうして新米霊能探偵の日々が始まった。
シルキーズプラスのデビュー作はシナリオライター、かずきふみ氏を起用してのアドベンチャー。
購入動機は体験版がそれなりに面白かったので。
初回特典は音楽CD。珍しいことに中に封入されていません。ですが、パッケージ内に収めることは可能とよくわからない構成に。予約キャンペーン特典はクリアファイル。
ジャンルはごく普通のアドベンチャー。
足回りはデビュー作らしい物足りなさ満載。というか、ここはデビュー作であってそうではないのでちょっと考えものです。
メッセージスキップは既読未読を判別して標準的なスピード。ジャンプ機能もありますが、未読箇所と選択肢のほか次の日に飛ぶという条件があるために使い勝手はあまりよろしくありません。
バックログは別画面にて行います。ホイールマウスに対応、ボイスのリピート再生も可能ですがほとんど戻ることはできません。ロード直後にも使用できません。
前回の続きから始められるコンティニュー機能は便利ですが、ロードはなぜか毎回オートセーブ画面で起動するので使いにくいです。
シナリオはほぼ一本道。事実上、ルート変化は恋人が変わるだけ。物語もそれに伴った修正くらい。よって2周目以降は代わり映えしないオチのわかった展開が続きます。当然スキップが基本です。ボリュームもお世辞にもあるとは言えず、霊能探偵として手がける事件は片手の指が余裕であまるほど。
日常の掛け合いは悪くはなく、本作の貴重なほんわかした雰囲気を醸成してくれています。ただし、ここでもボリュームのなさが祟っていて堪能するというほどの長さはありません。
惹かれ合う過程はほとんど見当たらず。基本的な物語が同じでヒロインが違うだけなのですから当たり前といえば当たり前ですが。描写するにはちょっと難しいでしょう。
Hシーンは各ヒロイン3回程度。ヒロインではない鬼たちにも用意されています。しかし、主人公は若干、差別めいた態度をとることがあり、鬼たちとは半分義務のようなHシーンになっています。エロ度はそれほど高くありません。
CGは差分抜きで80枚とかなり少なめです。シナリオのボリュームを考えれば逆に多いと言えるのかも。
立ちCGはポーズ変化も多めで表情も豊かです。イベントCGに見劣りしないクオリティを全体的に維持しています。掛け合いの楽しさの一因はここにあるでしょう。
イベントCGはもとのブランド名に恥じない出来の良さ。手を抜きがちな細かな差分も用意されています。
音楽はサントラを用意するだけあって聞き応えある曲が揃っています。ただし、全体的にややおとなしめの曲調のせいか、派手さが足りないように感じます。コメディやシリアスなシーンの盛り上げ用としてはいささか迫力不足に感じることも。
ボイスは主人公を除いてフルボイス。演技の方は特に問題ありません。
まとめ。あまりにも残念なデビュー作。どんな事情があるのか知りませんが恐ろしいほどの見切りが感じられます。ユーザーへのあいさつとしてこの内容でいいと本当に思ったのでしょうか。プレイ時間だけが全てではありませんが、それにしてもこの省力化は只事ではありません。次があるならちょっと考えないといけないかもしれませんね。
お気に入り:特になし
評点:55
このような有り様なのでキャラ別感想はありません。