Let's快盗!ヌすみ系!?-あの子のハートの盗み方、教えます♪-(SQUEEZ sweet)

 世の中が腐敗し、怪盗が賛美される世界。二階堂智輝(変更不可)は一流の怪盗を目指してその養成学園に入学する。そこで彼が出会ったのは怪盗のサラブレッドたちであった。

 一体どういうことなんだかよくわからないSQUEEZの新ブランドSQUEEZ sweetの第1弾はパッと見パロディー色の強いアドベンチャー。特集サイトの内容からするに全体的にソフト路線というように見えます。例の条例対策だったりするのでしょうか。
 購入動機はこれまでチーム買いでしたが、今回はそうとは言い切れない状況なので様子伺い的な感じで買うことに。
 初回特典は特になし。

 ジャンルはそれほど変わったところもないアドベンチャー。選択肢で制限時間が用意されている箇所がある程度です。その名も「怪盗・刹那の見切り選択システム」。SQUEEZのゲームといえば仰々しい名前のけったいなシステムや機能が基本ですが、本作はいたっておとなしいものでこれひとつのみ。なんだか寂しく感じます。
 足回りはsweetになったせいかちょっと良くなりました。メッセージスキップは既読未読を判別して高速です。これまでは作動しなかった「選択肢後のスキップ継続」機能にヒロイン選択後も含まれてずっと快適に。まぁ、これが本来は当たり前という話もありますが。
 バックログは別画面にて行います。ホイールマウスに対応、ボイスのリピート再生も可能でそこそこ戻ることができます。ロード直後にも使用可能です。なぜか選択肢表示時にはホイールからはスタートすることができません。アイコンからは問題なく使用できます。
 メッセージスピードの変更に手間がかかるのは相変わらずです。ノーウェイトにしようとしても最速に合わせただけでは反映されず、初期状態でチェックの入っている「音声と文章を同期」を外す必要があります。
 CG鑑賞モードでぷち立ちCG鑑賞ができるようになりました。自由というにはほど遠いですが衣装、ポーズが確認可能です。

 シナリオは相も変わらぬ低空飛行。これまでの馬鹿ゲーからパロディーゲーにシフトした感のある本作ですが、なけなしのオリジナリティが欠損した分だけより深刻な事態に陥っています。キャラはパロディによる基礎アイデアだけで深みが全くなく、愛着を持てるかどうかという域にまで達していません。会話の弱さも相変わらずのため盛り上がることもなく、ヒロインの魅力を上乗せすることもできていない状況です。笑いも厳しいだけでなく、知っていて当たり前という使い方なので元ネタを知らない場合は置き去りにされる可能性もあります。
 世界観が説明不足すぎて馬鹿ゲーとはいえ上滑りしすぎです。下手をしたら突っ込む気が起きないかもしれないほどなのはさすがに無軌道すぎるように思います。
 1周における多人数攻略というカラーは前作以上に薄くなり、もはや1周が短いだけの作業ゲーです。そういった視点で見始めると共通シナリオの固定イベントの弱さも目立つようになります。一応は学園ものだというのに驚くほど印象に残るイベントがありません。
 当然のことながら惹かれあう過程など探してもあるものではなく望むだけ無駄です。
 Hシーンは各ヒロインおおよそ2回。パッケージ裏から判断すると9人がヒロインに見えるかもしれませんが、なぜかフィリーネだけがハブられています。よって8人。尺は全体的に短めで、導入が唐突なケースが多いのであまりエロさは感じられません。一応はハーレムルートが2つありますが驚くほどルート確定フラグにも内容にもやる気が感じられません。唖然とするあたりはある意味で必見かも。

 CGは悲しいことに減少しております。差分抜きで75枚とずいぶんとさみしい枚数に。「炎の孕ませおっぱい身体測定」89枚→本作75枚ですからこれもsweet化の影響でしょうか。枚数だけなら前々作「もしもこんなショッピングモールがあったら!いきます☆」よりも多いのですが、イメージのせいでしょうか、どうも本作の方が少なく感じます。
 デザイン的にもパロディ的な衣装(私服扱い)と本作のオリジナル(?)である怪盗服が役割的に被ってしまっていて半ば意味を失っています(なにせ現場にル○ン的な私服で現れてから着替えたりします)。ついでにこの怪盗服はライバルのキャッツパッドの怪盗服とも被っています。
 イベントCGは意外なことにいわゆるHシーン以外に使われるカットが多いです。この手の作品で、1人あたり最大9枚という状況の中で2枚以上を占めるとなればその意味もわかっていただけるのではないでしょうか。原画はなんとか頑張っていますが総体としてエロが弱く感じられるのは避けられないと思います。
 本作でも当然テック@フルアニメーションSを採用しています。速度に強弱をつけて滑らかに動いてくれるのでエロ度の向上に貢献しています。

 音楽もやはりパロディを意識した曲が感じられます。ちょっとここまで似せていいのかという気がしないでもないです。正確には違うとハッキリわかるが同時に意識しているものも明らかにわかる、という感じでしょうか。逆にそれ以外の曲はSQUEEZのいつものレベルと比べても印象が弱いです。
 ボイスは主人公を除いてフルボイス。今回も1人1役が守られています。名前もないような端役を除けばですけど。演技の方は特に問題ありませんが、反対に強く意識に残るようなものもありません。

 まとめ。こだわりの感じられない作品。企画の根底から疑問が浮上してきます。コストパフォーマンスも問題あり。次回作がとても心配です。
 お気に入り:石河こよみ、フィリーネ
 評点:55

 キャラ別感想もちょっと書く気になれません。