顔のない月リミテッドコレクション(ROOT)

 業界お約束の延期に延期を重ねた「顔のない月」。そのアクセサリー集であるリミテッドコレクションもやはり数度に渡って延期されました。すでにROOTの伝統が見えてしまったように思います。

 内容物はCDキャリングケース、キーホルダー、ポストカード5枚組それに外伝ブック。グッズに興味のない私としてはこれが7800円のうちのどれだけを占めているのか、などと考えてしまいます。個人的には、やはりグッズはなしで、そのぶん値段は下げて欲しかったですね。
 CDは2枚組。サウンドトラックとミニAVG2本にアクセサリー集が入ったゲームディスク。2枚のディスクはブックレット型ケースに入っているんですが、これがどうも。くっきりと折り目でもつけないことにはまともに開いて読むことが出来ないんですよ。薄く開いた隙間からそっと読むしかないというのがツライところです。
 アクセサリー集の内容は壁紙、スクリーンセーバー、タスクランチャー、時計にメモ帳。当然、それぞれ選択式でインストールする訳ですが、事前にどういったものか確認することが出来ません。こういったものを使用するかどうかはデザイン次第なのですから、もう少し考えて欲しかったです。

 外伝「死角」
 システムは本編とは違ったビジュアルノベル。選択肢はありませんので、純粋な読み物と言うことになります。
 外伝は2本ともインストーラーが搭載されていません。より正確にはその予定はあったがなくなった、のようです。この時点で嫌な予感がしても、もう遅い訳です。買っちまってるんですから。そして、予感は当たりました。インストーラーが必要ない程度のボリューム、という答えを持って。

 シナリオは「顔のない月」本編前の主人公を描いた話です。相変わらずのわかりにくいテキストが炸裂しています。しみじみと思うのはこれが本編に入っていなくて本当に良かった、ということです。

 CGはビジュアルノベルだからか背景のみ。しかも、スーパーファミコンを彷彿とさせる、ぼやけたようなものになっています。内容が幻想的なものとはいえ、やはりこういうのは寂しいです。正直に言って魅力薄です。

 音楽は本編のものと新曲を併用しています。これはもう1本の外伝「アフェクション」にも同じことが言えます。新曲は旧曲に沿って作曲されているので、違和感はありません。旧曲が好きな方なら問題ないでしょう。

 外伝「アフェクション」
 システムは「顔のない月」本編のものを使用しています。ただし、ミニAVGであるからか、削られているものもあり、必要最低限のものしか残っていません。
 どう言う訳かメッセージ表示が異常に遅いです。デフォルトですでに「速い」に設定されているのですが、それでも果てしなく遅いです。今時ノーウェイトが存在しないというのもどうかと思います。

 シナリオは本編トゥルーエンド1年後、浩一、鈴菜、水菜の3人の生活を描いた話。
 これが個人的に最大の期待だったのですが、どうにも残念な仕上がりです。
 まずボリューム。いくらミニAVGとはいえ、短過ぎます。プレイ時間が1時間半ではさすがにほとんどの人が納得しないでしょう。しかも、コンフィグにノーウェイトがあれば、さらに短くなったでしょうから。
 選択肢がひとつしかないというのも、かなりのマイナスポイント。そのひとつしかない選択肢による変化も極めて小さなものになっています。まさに追い打ち。
 シナリオそのものが「肩すかし」という言葉で括ることが出来てしまうのも問題があると思います。
 カラフルピュアガール9月号で「トゥルーエンド後といっても、鈴菜と水菜が浩一を巡ってお色気で誘惑合戦を繰り広げる……、なんてベタな話ではありません」などというコメントが掲載されていましたが、その方がまだしも良かったのではないか、と思うのは私だけでしょうか。
 Hシーン1回で水菜とはなし、では誰も納得しないように思うのですが。中途半端に父性本能と倫理観に目覚めた主人公、浩一にも納得がいきません。

 CGはクオリティーこそ高いものの、枚数は非常に少ないです。表情、ポーズ変化を除くとなんと19枚しかありません。ちょおショックですよ。
 立ちCGはイベントCGに比べて微妙に力が入っていないように思います。水菜がイマイチ可愛く見えません。

 ミニAVGだからか、ボイスがないのもかなり痛いです。個人的に本編ではセールスポイントのひとつだと思っていたんですけどね。

 まとめ。「顔のない月」本編に全く不満のない人でないと、かなりキッツイでしょう。これにいったい何ヶ月かけたんですか? というのが正直な感想。
 お気に入り:本編の延長としてですが、倉木水菜
 評点:20

 内容も内容だし、ソフトの性格もありますのでキャラ別感想はなし。