匣の中の悦楽(GAIA)
主人公はしがないタクシードライバー(名前がないんで変更のしようがないです)。美しい獲物を求めて夜毎、車を走らせるのだった。
単品では見送っていたものを、「コズミックガールズ」とセットになった「ガイアすぺしゃるぼっくす」として発売されたのを期に購入。
システムは夜と深夜のふたつの時間帯に、獲物のいる場所を選択するタイプ。期間は9日間。そこまでの選択によってエンディングが分かれます。
このゲームには事実上、ゲーム性というものがありません。場所移動以外に選択肢というものが存在しないからです。つまり獲物の捕獲の失敗といった要素がないんですね。こういうのはもはやゲームとは呼ばないような気がします。
難易度はゼロというより、考慮する余地すらないというところでしょうか。ゆえにコストパフォーマンスは呆れるほど低いです。総プレイ時間は三時間半。個人的には歴代二位の記録です。
足回りはなんというかずいぶん古くさい印象です。そもそもインストーラーがない時点で全てが知れようというものですが。
解像度はオプションで変えることは出来ません。手動で行いましょう。
セーブ、ロードも特定の場面でしか出来ません。しかも、同じ画面内で行うことが出来てしまうので注意が必要です。
メッセージの早送りは可能ですが、かなり遅いです。しかも、選択肢で止まってくれません。カーソルが選択肢の上にあれば自動的にそれを選んでしまいます。
全体的に使いづらいという印象です。っていうか落第点でしょう。これは。
シナリオはゲーム内容からすれば、わりと楽しめました。主人公とヒロインの心理状態が予想していなかった方向に進んでなかなか面白かったです。
普通、こういうゲームでは主人公が破滅するか、ヒロインを奴隷化するのが一般的なラストだと思うんですが、このゲームではちょっと違います。
毎日、解放されているというのにヒロインたちはストックホルムシンドロームにかかったように主人公に心を寄せていきます。
その結果はヒロイン毎に異なりますが、中には紛うことなきハッピーエンドもあったりします。場合によっては強姦魔でも役に立つことがある、という恐ろしい教訓(?)を残しています。
CGはこのゲーム一番のセールスポイントでしょう。なかなか可愛らしくてイヤらしい絵を描かれる原画家さんです。
各キャラに一回、ミニアニメーションが挿入されています。ゲームの売りになるほどではありませんが、知らなければ嬉しいといったところでしょうか。一枚絵の塗りがセル画的なので実に違和感なく挿入されています。このへんは本当にうまいと思います。
しかし、立ちCGはかなりマイナスポイント。ドットも粗く、はっきりと愛が感じられません。
音楽は耳に残りません。ただ、ひとつだけ。特定のヒロインのHシーンの曲が、まるで純愛ゲームのような曲調で笑えました。ゲームの雰囲気に合わないことおびただしかったです。
ボイスはこれまたレベル低いです。かなり初心者クラスが声をあてています。それでも味があるのか、終盤になると(下手なことはわかっていても)、しっくり来るようになっていました。これに関しては「ときメモ」を初めてプレイしたときに少し似ているかも。
まとめ。単品で買うにはかなりしんどいです。過去の自分の判断に、心の中で惜しみない拍手を送っている最中ですから。抜きゲーだということを考慮してもねぇ。
個人的にはこの原画家さんにはもっとマシなシステムを搭載してあげたいです。ちょっともったいないですよ。
お気に入り:……あえて言えば縁水沫かなぁ
評点:15
以下はキャラ別感想。ネタバレは気にするほどでもないかと。
1、霧越涙香
すげぇ名前ですな。「るいか」ですからね。あんまり縁起が良くなさそうです。やはりそういう意味のネーミングなんでしょうか。
メインらしいわりにラストはイマイチ。個人的にはこういう獲物の価値が下がるようなラストはどうも(そりゃ、苦労してませんけど)。
2、須藤亜夜女
なんかレディースのようなお名前です。というか、このゲームは全体的に名前のセンスがどこかズレてますね。変わった名前ばかりなゆえに、かえって印象に残りません。
まぁ、メガネさんなので特になんとも。
3、双葉夏奈絵
ファミレスの衣装はちょっとヤバ目。最後は逆襲するかと思いきや、期待外れ。警察に突き出すのではなく、立場が逆転するとかなら面白かったのに。
4、臥龍院蘭子
こいつのシナリオは個人的にかなり高得点。よもやこんな形のハッピーエンドが待ち受けているとは思いませんでした。
5、縁水沫
巫女さんキャラなのに私服が多いというのはもったいない。せっかく着替えようとしているのを止める主人公はなってないですよ! エロゲーの主人公の風上にも置けません。
最後まで意志を貫き通して主人公を変えて欲しかったですね。最終的に巫女さんでなくなってしまうのもなぁ。