ENGAGE LINKS(ALcot)
騎士号を剥奪されたアルビレオ(変更不可)はなじみのある地方都市に剣術の師範代としてやって来た。そこで幼なじみたちと再会した彼は思わぬ運命に巻き込まれていく。
ALcotの新作はオリジナル世界観のファンタジー世界を舞台にしたアドベンチャー。
購入動機は予定していたタイトルが延期されたのでその代わりという消極的な理由。
初回特典は設定資料集付豪華マニュアル。予約キャンペーン特典は特製ビジュアルブックとやっちゃったCD。前者は豪華というには装丁などを考えるとやや語弊があるようにも。後者はCDが封入されている(やっちゃったCDとは別に)ので読みにくいです。
修正ファイルがでています。鑑賞モードに関するものですが、症状に該当する方はあてておきましょう。
ジャンルは特に目新しいところのないアドベンチャー。
足回りは2008年製としてはやや貧弱なところも。メッセージスキップは既読未読を判別して高速。
バックログは別画面にて行います。ホイールマウスに対応、ボイスのリピート再生も可能です。恐らくはいつでも開始時まで戻れますが、残念なことに再開箇所からしか使用できません。
メッセージウインドウに機能が少なく、ほとんどはサブメニューを呼び出して調整する必要があり、セーブ&ロードもこれに含まれます。クイックセーブ&ロードは実装されていません。
この開発チームお得意のメッセージ表示システムは本作でも健在です。主人公のセリフは通常通りに画面下部に、ヒロインのセリフは立ちCGに合わせて中央やや下部に、2人が表示されている時には中央で分割されてメッセージウインドウが半分になります。この3種類が状況に応じて効果音を発しながら動き回るので見た目にかなりせわしないです。目が痛くなる可能性もあります。
2周目以降に最初から始めるとフローチャートが出現。中途をすっ飛ばして分岐点から始めることが可能です。ただし、その話の最初からになります。なかなか便利ですが、いっそのこと選択肢からのダイレクトな分岐でも良かったかもしれません。
シナリオは全体的に描写不足が目立ちます。ファンタジー設定でありながら詳細を語るケースが少ないです。良く言えばテンポに優れていますが、悪く言えば説明が足りません。設定を上手に活かしているとは言い難いです。
日常会話にもそれは言えて、日々の様子を語っているようで実際は概要のみであるケースが多く、実感させてくれません。よって非日常になってもどこか消化不良ような感覚が付きまといます。
惹かれあう過程においてもやはり影響は免れません。各ヒロインの初期好感度が異常なほど高いので、積み重ねがなくともカップル化してしまうように見えます。主人公の方に少しばかり描写がありますが、基本としてヒロインに好かれているという前提の上のものです。
悲しいことに4本のシナリオのアウトラインがほとんど同じです。おまけにシナリオ上の起伏もそれほど多くないので周回を重ねるほどに飽きやすく退屈になっていきます。イベントの中身も似通ったものがあるので尚更です。
戦闘描写がありますが、総じてワンパターンな上にそのひとつにも力は感じられません。厳しく言えば全てが低調です。盛り上げようとしているようには感じられませんでした。
Hシーンは各ヒロイン2~3回。純愛系にしてはエロ度はなかなか頑張っています。ただ、シチュエーション的にはともかく、テキスト的にはやや弱いようにも。
CGはヒロインこそ魅力的に描けていますが、世界観はあまり表現できていません。ここでも設定の意味を考えさせられてしまいます。
立ちCGはイベントCGに負けないくらい力を入れて描かれているものの、どうもゲーム中は同じ表情やポーズばかりを繰り返し見ている感がありました。
設定を考えると背景にも期待したいところですが、残念なことに世界観を映す鏡としては弱かったです。
SDカットは登場頻度が非常に稀なので良くも悪くも効果が薄いです。
Hシーンはテキストに比較して十分な魅力を放っていますが、配分には疑問を感じます。メインヒロインの分を減らしてまでサブキャラに用意する必要があったのでしょうか。
音楽は舞台ならではというものは感じられず、おとなしい印象を受けました。BGMに徹していたと言ってもいいかもしれません。
ボイスは主人公を除いてフルボイス。男女ともに演技は良好。中でもヘレン役の遠野そよぎさんの感情を乱した時の演技は聞き応えがありました。
まとめ。企画と焦点がうまく合致していない作品。力が分散してしまっているようにも見えました。燃えと萌えの融合を目指しているのならば諦めた方がいいかも。素直に萌えゲーを作っていた方が良い作品を作れそうです。
評点:55
お気に入り:ヘレン
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