Caliz(Cronus)

 幼い頃から共に過ごしてきたレオン(変更可能)とメイドは好き合っていたので恋人同士に。レオンの父親が帰ってくるまでの2週間、やりたいようにするのだった。

 Cronus第6弾はかなり割り切った感のある実用度重視ゲー。
 正直、不安を抱えながらレジに向かったのですが、原画家買いというものはときどき自分でも理不尽に思うような衝動である訳で。購入動機を書くはずなのになぜか言い訳をしているような気がしてきました。
 ふと気がついたのですが、ここのブランドは初回特典とはいつも無縁ですね。

 今のところ、修整ファイルは出ていないのですが、音楽関係全てにかなり気になるレベルのノイズが入っていて、音が重なるように鳴ります。メーカーホームページによると音楽をインストールすると回避可能とありますが、私の環境では修整できず。というか、ボイスや効果音でも同様の現象が起きているので音楽だけどうにかしてもあまり意味がないのですが。
 それにしても、症状の説明に「遅いCPUだと……」とありますがパッケージにある動作環境はペンティアム133MHz以上。私の環境は800MHz。そうですか、遅いですか。まぁ、そうかもしれませんが、それなら推奨はどれくらいなのかと聞きたくなりました。

 ジャンル名はパッケージによるとメイド愛育SLG。要は純愛しかないと言いたいようなのですが、Cronusイズムで言うところの調教ルートはあったりします。
 システムとしてはまず最初に姉妹メイドのどちらかを選択。選ばれなかった方は立ちCGさえ出現しないというある種の潔さ。そこまでする必要があるのか疑問ですが。
 期間は2週間。朝や昼は通常のアドベンチャーと同じく自動でイベント(Hシーン)進行していきます。
 夜には最大8種類の体位(プレイ)から選択することが出来ます。ただし、選択は1日1回しか出来ません。これには正常位のみ5段階、他は3段階ほどレベルがあります。選んだ体位によって「愛情」、「開発」のパラメータが上昇します。パラメータの数値によって終盤、2つのルートに分岐します。この辺りがSLGと言いたい模様。
 メインであるSLGパートは明らかに洗練されていません。よく見ればおわかりかと思いますが、1人のヒロインに限っても1度のプレイで全てのCGを見ることは出来ません。必然的に回収プレイが必要になってくるのですが、そのあたりが非常にわかりにくくなってます。と言うのも体位のレベルが現在どのような状態にあるのかわかりにくいからです。
 レベルが上がると宝石が点灯するという仕組みなのですが、見た目からは実行したのか、それとも可能なだけでまだなのかがわからないんですね。最初は何の問題もないんですが、回収プレイのためにセーブ&ロードを繰り返すともう全然わからなくなってしまうんですよ。もうちょっと配慮が欲しかったように思います。
 使い勝手には目をつぶるとしても、SLGパートは単調で変化に乏しく飽きやすいです。通常パート同様に使い回しのCGが多いこともそれに拍車をかけています。しかも、デビュー作「Sweet Pleasure」を上回るコストパフォーマンスの低さはどうかと思います。
 足回りはいつものCronusらしくありません。メッセージスキップはお世辞も早いとは言えず、回収プレイが必須の今作では致命的です。
 メッセージの巻き戻しはウインドウで行います。これはいつも通りホイールマウスにも対応しています。
 今作はプログラマーに変更でもあったのか、上記の音楽のノイズだけでなく、色々と変更されたり不安定になっています。例えばNo waitがなかったり、タイトル画面からコンフィグに行けなかったり、ボイスがクリックしてもカットされなかったり、フルインストールしても起動ディスクが必要な仕様に変更されてたり。

 シナリオはコメントに困るシロモノ。実用度重視を謳うくらいですからシナリオに力が入っていないのは仕方ない。そう割り切ろうとしても苦しい仕上がりです。
 主人公は典型的な金持ちのおぼっちゃん。何と言いますか、常識がおかしいというか、気の毒なくらい頭が弱いと言いますか。読んでいて頭を抱えたくなることが多かったです。取りあえず、一点だけ書いておきますと恋人に小便を飲ませるのは普通、純愛と言わないと思います。
 キャラクターは設定段階から重みというものがなく(前作まで以上に)、どんなイベントも会話も空々しく聞こえてしまいます。というか、真面目に書いているのか、それとも馬鹿な文章を書こうとしているのか、それさえもよくわからなかったのですが。
 
 CGはなにか退化したような気さえします。相変わらずレベルが一定せず同一キャラに見えないものが散見されます。原画家買いした者としてはこれを個性で片づけるのは悲しすぎます。今回は1枚1枚に対する丁寧さもあまり感じられないような。
 メイド服のデザインも今三歩というところ。特にセシリアの方は見ているのもツライくらいなんですが。前回も書きましたが、「Pia」シリーズなど優れた個性的なデザインをもっと参考にしてください。体操服、水着にも全く同様のことが言えます。変にアレンジするくらいなら基本に忠実な方がよほどましですよ。
 立ちCGはバストアップ表示。服装ごとに用意されています。ただ、両手を腰に当てているセシリアのカットはどうかと。主人の前とは思えないほど偉そうなんですが。このポーズで恥ずかしがられてもねぇ。
 個人的な好みとして二大ヒロインよりもおまけであるオリーブの方が可愛く感じられたのは厳しかったです。

 音楽はお馬鹿な感じも消え失せてさらに印象に残らず。まぁ、実用度重視のゲームというものは得てしてそういうものかもしれませんが。
 ボイスは妙にレベルが下がったように思います。これまでは及第点以下というのはなかったんですが、今回はレベルもそうですが個性にも乏しい感じを受けました。

 まとめ。原画家買いでもこれは……。社内的になにかありましたか、ってくらい欠点ばかりが増幅、あるいは追加されているような。企画の方向性は間違っていないと思うんですが、そこで選択したものが色々とマズかったような気がします。
 お気に入り:特になし
 評点:51

 この出来ではキャラ別感想は書けません。