2本のフルートとピアノのためのトリオ / J.M.ダマーズ(1928〜)
J.M.ダマーズはフランス音楽の伝統主義を重んじた新古典主義的な作風で知られている作曲家である。このトリオは、1997年に作曲され、故.J.P.ランパルと、C.アリマニーに献呈されている。作品は4楽章構成で、リズミカルな1楽章、美しく2本の旋律が絡み合う2楽章、スケルツォ風な3楽章、田舎風なリズムに乗って高揚していく4楽章からなる。
3つのダンス /G.ショッカー (1959〜)
G.ショッカーは、アメリカ現代の作曲家でありフルーティストである。近年G.ゴールウェイがコンサートに取り上げたことにより、注目を集め始めた。この3つのダンスは、ジャズ的なリズム.ハーモニーの要素を取り入れた軽快かつムーディーなダンス音楽である。1995年に同メンバーにて日本初演
ショパンの主題による演奏会用二重奏曲op.68 /E..ケーラー(1849〜1907)
E.ケーラーはロマン派後期の代表的なフルーティストであり、数多くの優れた練習曲を残している。この二重奏曲は、ショパンの「ピアノソナタ第2番ロ短調op35」の第3楽章「葬送行進曲」の中間部が用いられており、熱情的なイントロダクション、哀愁を帯びた美しいメロディー、栄光をたたえる行進曲風のモデラートの華やかな主題で始まり技巧的に変奏されていく、という3つの部分からなる。
メンデルスゾーン、ラハナーによる3つの二重奏曲 Op43 /Th.ベーム(1794〜1881)
Th.ベームは大変多才な人物で、ベーム式フルートの発明者であり、ミュンヘン宮廷楽団のヴィルトォーゾ・ソロ・フルート奏者であり、作曲者としても大変多くのフルート曲を作曲をした人物である。この3つの二重奏曲は、ドイツ・ロマン派の二人の作曲家、F.メンデルスゾーンの二重唱曲「恋人よ打ちあけてくれ」作品63/1(ハイネ詩)、「秋の歌」作品63/4(クリンゲマン詩)、Fr.ラハナーの二重唱曲「私はあなたを愛しています」作品86/3(リュッケルト詩)をもとにベームがフルート二重奏用に編曲したものである。
2本のフルートとピアノのためのソナタ /矢代秋雄(1929〜1976)
この曲は1958年にNHKの委嘱により作曲され、同年、吉田雅夫、故・高橋安治、田辺みどりの各氏により初演された。作曲者自身はこの曲について次のように述べている。<やや特殊な編成で、書く気になったのは、「2本のフルートとピアノとはいい組み合わせなのに、実際にはエチュードか小品しかないから、ソナタでも書いてみたら」と言う友人のすすめによる。
第1楽章はソナタ形式によるアレグロ、第2楽章は、それぞれのソロを中心に瞑想的な緩徐楽章、第3楽章は、無窮道風のロンドで、全楽章にわたって<デリツメ>という作曲者自身に呼ばれたリズム法が生かされている。
「仮面舞踏会」の主題によるグランド・コンチェルト・ファンタジー/L.ユグー
イタリア生まれのL.ユグーは、ブリチァルディー、ガリボルディーと共にイタリアのフルートの黄金時代を築き上げたフルーティストであったが、実はトリノ大学の地理学教授でもあった。この曲は、ヴェルディの仮面舞踏会の中から、第1幕、第2場より「今日、最初に握手する人に殺される」、第2幕、前奏の後のアリアより「あの草を摘み取って恋を忘れることができたなら」、第3幕、第2場より「仮面舞踏会の場」の主題を順に用いて華麗に技巧的に変奏していく作品である。