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ミニクーパー復活
1989年、ローバーグループは航空宇宙産業などを行うブリティッシュ・エアロスペース社に売却され、乗用車部門の「オースチンローバーグループ」と4輪駆動車部門の「ランドローバーグループ」に分かれていた二つの会社を「ローバー・カーズ」という一つの会社に統合した。そのローバー・カーズで89年からミニは販売されることになった。これを機に、日本の「オースチン・ローバー・ジャパン」も「ローバー・ジャパン」に社名変更。
そして1990年、ミニクーパーはローバーから復活する。最初は2000台の限定モデル(日本への割り当ては600台)として登場したが、世界中で瞬く間に売り切れてしまい、ローバーは翌1991年にカタログモデルとしてクーパーの発売を開始した。
現在に復活したローバーミニクーパー1.3は、簡単に言うとメイフェアに上位車種メトロ1.3のエンジンを搭載して、ボディのルーフをホワイトにし、フロントグリルをMk2タイプのメッキグリルに付け替えただけのもの。シャシー、サスペンションは1000cc版と大差なく、かつてのミニクーパーSとは一線を画したモデルと言える。いわば、クーパーSの雰囲気だけを今に再現したモデルなのである。当然のことながら、クーパーSのようなFWD車特有の運転の難しさを始めとした個性はない。あくまで実用性能を第一に考えられた味付けになっている。
1992年、ミニシリーズは永きに渡って使われてきたSUキャブレーターを廃し、コンピューターを用いてガスコントロールを行う電子インジェクション化がなされる。
クーパー1.3もクーパー1.3iに発展。iはインジェクションのiである。インジェクションによってエンジンが電子制御されるミニ&ミニクーパーは、昔のミニに比べれば格段に扱いやすくなった。なにしろ、セル一発でエンジンがかかるのである(現代の車では当然であるが…。それまでのキャブレーター仕様車のミニは、エンジンをかける時に「チョーク」を引っ張ってアクセル開度を調節する必要があった)
しかし、アナログの良さこそミニの良さだと考える向きにはインジェクションは敬遠されがちだ。クーパーと名乗る以上、キャブレーターはふたつなければならない、という頑固なファンは確実に存在する。
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