「お母さん、夢がかなったね」ここに引っ越した時に一番小さな息子がうれしそうにいいました。「夢がかなったかな」とこたえながら、子供のとき、小さな甥や姪のために家に来てくれていた「産婆さん」のふっくらした手や丸い顔を想いだしていました。この人のようになりたいなあと思ったのは小学生の頃でした。
そして看護婦さんになってはじめて自分の人となりを意識し、とってもつらい20才代でした。酔いつぶれみじめな意識のままいつも励ましてくれた行きつけの「飲み屋のママ」。「ゆみちゃんはゆみちゃんのままでいいよ、すてきよ。元気出して」とささやいてくれました。この人は昔は保健婦さんだったということをお別れのときに聞きました。お酒が好きでここまで来たのよと笑っていました。
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