□compilation



various musicians
compiled by ryoji ikeda
statics
(CCI recordings,1995)




音楽を説明する際に用いられる「映像的」という言葉は、具象的な
音素材によってまさにある具体的イメージを喚起することを意味す
るだけではない。「抽象風景」という言い方もあるように、存在す
るものか、目に見えるものかどうかは、音楽における映像喚起の定
義とはならないのかもしれない。

すぐれて視覚的な響きでありながら、特定の何かを描きえないまま
に私は聴き進んでいる。そうする必要が、まずあるのかどうなのか。
抽象的であることに終始するその控えめさに、私は引き付けられる。
それは何かをはっきりと見せてくれないことによる、こちらからつ
かもうとする能動的な興味などではなく、音それ自体の魅惑である
ところがこのディスクの美点である。さまざまな見えない風景を継
ぎ目がどこか判然としないほどにまで並置された、これが実はコン
ピレーション・アルバムであるという意外性も美しい。

風のような揺らぎ/ドローン/電子音とその突然の中断・交替/抑
制され、静止したかのような希薄な旋律....こうした要素からなるス
タティックな風景を描いた参加ミュージシャンは以下の通り。

derrin verhagen
akira yamamichi
ryoji ikeda
jim o'rourke
kazuhiko kinami
alan lamb
christophe charles
paul schutze
david toop
andrew lagowski + toru yamanaka


May 11 2000 shige@S.A.S.
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