□compilation


various musicians
silence
(newsic,1993)36CD-N020





−やすらかな静けさ、鋭い沈黙−


生きている限り完全な沈黙などないのなら、

「聴覚上の沈黙」とは、もしかしたら、

サイレンスを象徴する音を鳴らすことによってのみ、

体験できるものなのかもしれない。

このディスクを再生すると、

「音」にどうしようもなく引き付けられる。

無視できない。


静けさ(quietness)とは、安らかな情感であり、

無邪気にたたずむ空間を指すのだろう。

その一方で、

沈黙(silence)のことを考えるから、音が意識に現われる。

不在を思う時になってはじめて、存在を想像しはじめる。

サイレンスとは、身じろぎもせず、強く意識し、

凝視するものなのではないのだろうか。


静けさを感じる心と空間の状態と、

鋭く知覚する沈黙との、

遠い距離について思う。





「生きている限り完全な沈黙などない」ことについては、こちらへ。
ジョン・ケージの体験した「沈黙の不在」。

このディスクは「サイレンス」をテーマとするコンピレーション。
青山・スパイラルを運営するワコールアートセンター制作。1993年リリース。
参加した音楽家/アーティストは次のとおり。

holger szukay,simon fisher turner+derek jarman,david cunningham
polkahappiness,john c.lilly,tamami tono,paul bley,jan steele,john cage by
masumi nagasawa,claude debussy by satuki shibano,ryoji ikeda


1999 shige@S.A.S.
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